第9話 孤独の魔女
私は生まれつき魔法の才能があったが、魔法騎士団には入りたくはなかった。
戦地に行って人を殺したくなかったから。でも拒否権はほとんど無かった。
だから私は何度もお願いをして魔法の研究をさせてもらえるようになった。
魔法の研究での成績が良かった私は、自分の家の持ち自分の部屋で研究する事を許された。
家の外が騒がしい。この国は3つの国と戦争をしている。この国の人達だけが魔法が使えるので戦局はいつもファウス王国が有利。
家の外が騒がしいのは戦争から帰ってきた魔法騎士団の凱旋らしい。
毎回、戦争に勝って帰ってくるが犠牲者がないわけではない。犠牲者はいつも魔法が使えない兵士たちばかり。亡くなった兵士たちの家族は悲しみに暮れるが、国や魔法騎士団はファウス王国の為に勇敢に戦って死んだ英霊として讃えて終わりだった。
ある日、三カ国との戦いでファウス王国が勝利するまでもう少しのところで暴動が起きた。兵士の犠牲者が多すぎた。だが暴動を鎮圧するのは空を飛べる魔女や魔法使いで、一方的な蹂躙だった。だが住人たちは止まらない。この国の住人たちを殺すのは他国の兵士ではなく、この国で育った同じ人間になった。
この国の結末がそんな道を辿るくらいならと、私は家の外に飛び出し杖の先端を空に向け、魔法騎士団に内密に研究していた魔法を発動させた。杖の先端から国中の魔力を吸い上げ、私の体内に国中の魔力が蓄積されていった。
すると街で異変が起きた。魔法使い達が空を飛べなくなったと騒ぎが起きた。魔法が完全に使えなくなったわけではないので、魔法騎士団と住人たちとの衝突はまだ続いている。だが多勢に無勢。魔法騎士団たちはいずれ殺されるか拘束されるだろう。
そのような事態を招いた私はこの国を出るために身支度を整えた。行く当てはないがこの国に留まるつもりもない。
私はファウス王国から遠く離れた地に移り住んだ。ファウス王国から逃げるようにして国を出たが、私は今でもファウス王国を想っている。ファウス王国がどのような国になろうと私は見守り続ける。
世界でただ一人になった魔女より
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