第5話 魔法使い
僕は受付で言われた集合場所として、ファウス王国のすぐ隣にある森の開けた場所に来ていた。そこには既に冒険者だろうか、紫色の髪をした魔法使いが被ってそうな帽子を被っていて、魔法使いが使いそうな杖の棒を持っている少女がいた。その少女は僕の方を見て驚いた様子をしている。
「あの、もしかして新しく冒険者になられた方ですか?」
「はい、今日から冒険者になりましたアオイです。よろしく」
「アイリスです。よろしくお願いします」
僕は受付で貰った報酬リストを見ながらアイリスの隣に腰を下ろした。
「冒険者って複数人で仕事こなしちゃ駄目とかあるの?」
「複数人でやったことないんで分からないんですけど、ダメって事はないんじゃないでしょうか」
「冒険者は儲からないって聞いたんだけど、アイリスは何で冒険者やってるの?魔法が使えるから?というかこの世界って魔法使えるの?」
「使えますけど役には立たないです。昔は魔法使う人は珍しくなかったらしいんですけど今は珍しいです。こうやって割に合わない仕事をやるくらいには」
「あ、ごめん。気を遣えなくて」
「いいんです。だから私たちくらいしかいないんですし」
アイリスは卑下をするというより冒険者という仕事はこの世界ではそのくらいマイナーだと有り体に説明しているようだった。
「私が冒険者をやっているのは自分自身で何かをしたいからです」
「アイリスってこの国の出身だよね?他の仕事は無かったの?」
「そう、ですね。あったら良いんですけど」
僕たちがいる場所は国を出てすぐにある広場で、森を上るように傾斜になってある。そこから見える範囲で、今いる広場からちょうど反対側に立派な城が見える。多分この国の王様達がいるんだろうか。よく見ると城と城と隣接する森との間に煙みたいなのが見える。城の周辺で煙が上がっているのは何気に緊急事態ではないだろうか?それともこの国では珍しくないんだろうか?
「ちょっとアイリス、あれ見える?なんか城からなんか…」
アイリスは僕が指さした城を呆然と眺めている。アイリスは我に返るとすぐに立ち上がりそして
「私、今すぐに家に帰ります」
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