クリスマス

 12月25日。竹内は一人寂しくクリスマスを過ごしていた。

「あ~…寂しいなぁ~…。結局今年も彼女はできず一人か…。友達は皆結婚してて誘いづらいし…。俺も結婚して子供がいれば、きっと楽しいクリスマスになるのになぁ…」

『ピンポーン』

 そんな事を考えていると、家のチャイムが鳴った。

「お!俺が一人寂しく過ごしてると思って、誰か遊びに来てくれたかな。はいはい、今開けますよ」

 竹内が扉を開けると、白衣を着た見知らぬ男が立っていた。

「えっと…どちらさん?」

「突然押し掛けてしまい申し訳ありません。私は松本という者で、日々色々と発明をしております。ところで、一人寂しくクリスマスを過ごしていたりしませんか?」

 その言葉を聞いた竹内はむっとして答えた。

「別に一人でクリスマスを過ごしたっていいじゃないか!あんた何なんだよ!失礼にもほどがあるぞ!」

「気分を悪くさせてしまい申し訳ありません。実は私も一人でクリスマスを過ごしていたのですが、あまりにも寂しくなって子供ロボットを作ったんですよ。それで少々作りすぎてしまったので、もし宜しければ貰って頂けないかと思いまして…」

 その理由を聞いた竹内は、怒鳴ってしまった事を申し訳なく思った。

「そういうことでしたか。怒鳴ったりしてすみませんでした。それは本当に嬉しい事です。実は恥ずかしながら寂しくて堪らなかったんです。喜んで貰わせてもらいますよ」

「ありがとうございます。それではどうぞ。背中のスイッチを押せば動き出しますので」

 竹内は子供ロボットを6体ほど貰い受けた。


「良い事もあるもんだな。早速電源を入れてみるか」

 竹内はわくわくしながら子供ロボットの背中のスイッチを押してみた。

「メリークリスマス!今日ハ楽シク過ゴソウネ!」

「ウンウン!」

「年ニ1度ダモンネ!」

 子供ロボットは元気に動き出し、楽しそうに喋り始めた。

「これは凄い!今年のクリスマスは本当に楽しくなりそうだ!さあ、皆、ケーキがあるからこっちにおいで!」

「ワーイ!ワーイ!」

 竹内は心から松本という男に感謝し、今までにないくらい楽しいクリスマスを過ごした。


「いや~、君たちのおかげで今年は最高のクリスマスになったよ。ありがとう」

 竹内がお礼を言うと、子供ロボットは一斉に喋り始めた。

「ネエネエ、クリスマスプレゼントハ?」

「ソウダヨー。クリスマスプレゼントチョウダイヨー」

「チョウダイ!チョウダイ!」


「…子供たちがいるクリスマスもいかがなものかな」

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