※第7話


「なに緊張してる」


タカがそう聞いたのは、服を脱がせ腰や尻、太ももなど下半身に手を這わせた途端、リーダーがあからさまに体をこわばらせたからだった。



「もう触られた時のこと考えてんのか?」


「ッ...!!」


リーダーは小さく息を呑んだ。

"何を"触られた時のことかは言っていないが、"男性器"を指していることは言うまでもない。タカの言ったことはどうやら図星のようだったが、リーダーがそう答えられるはずもなく、ただタカから目を逸らした。


行く当てをなくした視線はタカの手を追った。そして不意に自分の股間が見えて、その時初めて精力剤を飲まずとも自分のアソコが勃っていることに気がついた。


リーダーは初めてのことに戸惑った。先程から下半身に熱が集まる感覚はあったが、まさかこうも完全なものになっているとは想像もしていなかったからだ。



タカはそんなリーダーの異変に気づき、面白がって股関節の際どい箇所を撫でた。するとリーダーは恥ずかしさのあまり自分のいきり立った性器を手で隠そうとした。しかし、その反応はタカを煽るものでしかなかった。

隠しているつもりでも指の間から見えてしまってる上に、我慢汁で濡れた先は全くと言っていいほど隠しきれていない。その不完全さにリーダーの詰めの甘さが感じられて無性に愛おしく思った。



ちゅっ...


可愛らしいリップ音と共に、拳1つ分の距離で見つめ合う2人。タカの理性が弱いのかリーダーの煽りが強いのか定かではないが、タカは気付けば"やらない"と決めていた唇へのキスをしていた。


一度してしまいリミッターが外れたタカはもう一度顔を近づけるが、先程まで指を咥えてあれだけ積極的だったリーダーはキスには何故か消極的で、グッと口をつぐんだ。



「開けて」


その言葉に反してリーダーは口をギュッと閉じたので、タカは散らばった前髪をかきあげリーダーを見た。すると観念したのか、リーダーはぽつりぽつりと話し始めた。


「キスは一番イヤだった...。気持ち悪くて、吐きそうになって...、その人のこと、すごく嫌いになる...。だから...、おれ、タカを嫌いになりたくない...!」


そう言って涙目でタカを見返した。リーダーは枕営業でしてきたキスにトラウマがあった。

リーダーにとってキスは苦手なものかもしれないと、日常の中でなんとなく感じていたタカは、今日はキスをしないつもりでいた。

予想通りキスに苦手意識があるリーダーだったが、その理由を知ったタカは一つの提案を投げかけた。


「俺のこと嫌いになるか試してみろ」



返事も待たずリーダーの下唇を唇でついばみ、舌で歯列をなぞる。

時間をかけて何度もするうちに口の力が緩み始めたので、タカはそこにゆっくりと舌を差し込んだ。

上顎や歯の裏を撫でて奥に引っ込んでいる舌を誘惑する。何かに縋るように空を掴もうとしていたリーダーの手に自分の指を絡めて固く繋げば、一呼吸置いて恐る恐る舌が出てきた。


舌先だけの戯れは次第に激しさを増し、お互いの形を確かめるように全体を重ね合わせていった。

リーダーは緊張でうまく唾液を飲み込むことができないのか、息苦しさに繋ぐ手に力を込めたが、タカがやめることはなかった。




「嫌いになったか...?」


下半身に手を這わせれば、リーダーのソコは変わらず興奮を示している。聞くまでもない質問をして相手の恥ずかしがる顔が見たいだけだった。


案の定、リーダーは頬を赤らめ荒い息遣いのまま首を振った。嫌いになるどころか離れていく唇をとろけた目で名残惜しそうに見つめている。


リーダーの意識はタカの温かく唾液に溢れたキスで、次第にその先の行為へと引き込まれていった。その反応に満足したのか、もう一度唇に軽いキスを落とし、望み通り下へと下がった。




細く引き締まった腹にキスをすれば、力んで腹筋の溝がうっすらと浮き上がる。そこに舌を這わせて再びキスを落とした。


腰に手を当て、もう一方で尻を揉む。日頃のレッスンのおかげもあり、リーダーの尻は引き締まりとても揉みがいのあるものだった。

続けて脇腹を甘噛みしながら下へと下がり、いよいよ快楽の中心へと辿り着く。


足を広げればもがいてすぐ閉じようとするので、太ももを掴んで間に入りそれを阻止する。



「タカ...! タカ...、お願い...」


足の付け根にキスをしていよいよ息がかかる距離に差し掛かった時、リーダーは耐えかねてタカに懇願した。


「お願い...。 目、閉じて...」


顔を真っ赤にして恥ずかしげにそう言う。


「いいよ。 ただし...」


タカの返事に少しだけホッとしたのも束の間、


「自分で足開け」


膝の裏に腕を通して、まるで裏返されたカエルのような格好を強制される。



(いいな、これ。)


全てをさらけ出したリーダーを見下ろしながらタカはほう、と息を吐いた。


「早く、目閉じろよ...!」


未だ閉ざすことなく恥部をじっくり眺めるタカに痺れを切らしたリーダーだったが、当人は全く気にした様子ではない。しかし約束は約束、後ろ髪を引かれながら渋々目を閉じた。



足の間に戻りまずは袋にキスをする。数回した後、舌全体を当てて大きく舐めた。

先程までは体をビクつかせてある程度の快感を逃がしていたリーダーだったが、今は足を抱えて自ら体を固めている状態なのでそれが叶わない。

となると体に溜まった快楽の出口は声しかなくて、この体位になる前に比べてより喘いでしまうようになっていた。



裏筋の太い血管をなぞるよう舐めてはキスしてを繰り返せば、先から我慢汁をダラダラと垂らした。

もちろんタカにその光景は見えていないが、リーダーがこれでもかと言うほど焦らされ、もどかしさを募らせていることは目をつぶっていても分かった。


タカは片側の口角をニッと上げた。次の瞬間。

今回もまた裏筋を舐められるだけだと油断していたリーダーの反り立ったソレを、喉奥まで一気に咥え込んだ。


突然の強すぎる刺激にリーダーは目を見開いた。


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