第5話
『例の件、2日後の収録終わりによろしくね!』
社長からそう言われたのは今からちょうど2日前、つまり今日がその"例の件"の日だった。
「リーダー元気ない? チューしたげよっか?」
「...ん? あぁ、トラ!ありがと〜!でもそれはだめだから、代わりにギュー!!」
「なにバカなことしてんの?離れてよ。 リーダーがその調子じゃ締まらないんだけど?」
「バンビちゃんごめんごめん!俺もう元気だよ!」
「リーダーにもそういう日、ある。その分俺たちが カバーする...」
「ウリも心配ありがと!でもほんと大丈夫だから!
よし!それじゃ〜気合い入れてこ!」
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収録が終了し、トラ、ウリ、バンビの3人が帰宅したなか、リーダーとタカは車の後部座席に座り目的のホテルに向かっていた。
どちらも一切話すことはなく、車内は静寂そのものだった。
話を切り出したのはリーダーからだった。
「これ」と言ってタカに差し出した手には、薬が持たれていた。
「精力剤。これで少しは萎えにくくなッ...!ッ!!おい!なにすんだよ!!!」
タカは手に持っていた薬を2錠とも窓から放り捨てた。
「あれで最後だったのに!どうしよう、あれがないと...! マネージャーさんお願いします!近くの薬局に寄ってもらえませんか?」
「必要ない」
「必要あるに決まってんだろ!! マネージャーさんお願いします...!」
しかし運転をしているマネージャーは困ったように後ろを振り向いた。
「行きたい気持ちは山々ですけど。もう着いちゃいました」
「えっ...!?」
車はすでに目的地の目の前まで来ていた。
「どうしよう...。あれがないとだめだ...」
「考えてもしょうがないだろ。買いに行ってる時間もねぇよ」
「タカがあんなことしなけりゃここで悩むこともなかったんだろ!!」
リーダーは枕営業に向かう前必ず精力剤を飲むようにしていた。それは恋愛感情のない相手とのセックスで勃つわけがないと思っていたから。
今回はタカにも飲ませようと2人分を鞄に入れてきていた。しかしそれは捨てられてしまった。
タカが言うように時間がないのは事実で、リーダーは不安になりながらも指定の部屋に行くしかなかった。
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