第6話 安堵

 四人集まったときの放課後に行っていた、学校から最寄り駅の途中にある娯楽施設へ向かう。カラオケ、ゲームセンター、ボーリングなどがある場所だ。そこへ行くまでの道で圭を発見。

 圭の先には四人でいるときとは全く違う静かなゆうと、そんなゆうを不思議がる真がいる。背が高く筋肉質の真と、手足が長くモデルのような体型のゆう。街行く人々に聞いたら、十人中九人はお似合いのカップルだと言うだろう。

 そんな二人の後ろで様子をうかがっている圭。そのさらに後ろで事の成り行きを見守ってい英子。他人が見たら珍妙な状態だが、本人たちはいたって真剣だ。

(……圭くんは、決めたら絶対に実行する)

 高校に入学してすぐの頃から、英子は片思いをしている。大きな荷物を持ったお年寄りを助けていた英子を、圭が助けてくれた。遅刻するよと注意するゆうの言葉よりも、英子を手伝ってくれた。お年寄りをバス停まで送って、二人で走って、教室に行くとまだ担任の先生が来ていなくて。圭と二人で笑い合い、英子が礼を言って、圭は当然だと言って。ゆうから、昔から圭は決めたら絶対に実行をすると聞いて。そんな圭の人の良さに惚れたのだ。

 だから、圭はゆうに告白するだろう。そして、振られる。

 英子が圭との出会いを思い出していたら、圭が動く。真もいるのにゆうに告白した。ゆうも真も、驚いたように固まっている。そんな様子を電柱の陰から見守っていると、すぐに断ればいいのに、視線を彷徨わせたゆうに英子は発見されてしまった。駆け寄ってきたゆうに引っ張り出されてしまう。

「……英子ちゃん」

「ご、ごめんね。心配になって……」

 英子と圭の気まずそうな様子から何かを察したのか、ゆうはぎこちないながらも笑顔になった。なぜ今の状況で笑えるのかわからず、英子が不審がっていると、ゆうが明るく言い放つ。

「良かった。四人揃ったね。これからいつものように遊びに行こう」

 まるで、圭からの告白なんてなかったかのように。

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