第2話 妃奈(ひな)の場合
クラスの友達が冗談を言い合う中に、私は上手く入れない。みんなは私のことを「頭がいい」と言ってくれるけれど、そんなことはないと思う。
私ができるのは、決められた範囲の出来事を暗記したり、それを応用したりして当てはめるだけの作業。本当に頭がいい人っていうのは、こういうなんでもないやり取りの中で求められている発言をしたり、人とは違う角度で面白い発言をできたりする人だと思う。
というか、そもそもこんな風に「何が面白いかな。」「これが求められている答えかな。」なんて考えている時点で一歩後ろにいる気がする。ポンポンとテンポよく小気味の良い会話を私もしたい。
いつもそういった楽し気な会話の中心にいる夏野くん。彼はどこで仕入れたんだろうと不思議に思ってしまうくらい面白い言葉を知っている。適切なタイミングで絶妙な突っ込みを入れたり、斜め上を行くボケを連発したりする。
私も真面目な授業や受験の話だけじゃなくて、大声で笑いあえるような会話を生み出したい。人をあんな風に楽しそうに笑わせたい。
ああ、夏野くんになりたい。
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