あの子に…
鈴木まる
第1話 梨々花(りりか)の場合
中学生になってから、より一層頭のできの良しあしがあからさまになったと思う。中間テストや期末テストはもちろん、普段の授業のレベルも小学生の頃とは比べ物にならない。
私は自分がまあまあ勉強はできる方だと思っていた。せめて真ん中あたり。でも、中2になるまでに受けてきたテストの点と通知表とが、真ん中以下であるという残酷な現実を突きつけてきた。
だから、クラスが同じ妃奈(ひな)のことがとてもうらやましかった。小6の時から今現在の中2まで偶然同じクラスの彼女は、勉強がよくできた。だからといってそれを鼻にかけるわけでもなく、頼まれれば友達にはわかりやすく解説してあげていた。
穏やかで頭脳明晰な彼女に、同じく穏やかだが勉強の苦手な涼太(りょうた)はよく話しかけていた。「今の授業のノートちょっとここ取りそびれたから見せて。」「テスト範囲のこれ、全然わかんないよ~。」と彼女にたびたび助けを求めに行っていた。
正直、勉強ができることよりそのことが私はうらやましい。きっと頼りになる人格者の妃奈のことを、涼太は好きに違いない。
ああ、妃奈になりたい!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます