一緒に
「お前は一体何をしに来たんだよ…」
伏鹿角はそのようんあ口調で、雪消癒遊の方を冷めた目で見つめる。
彼女は、伏鹿角の傍に居たかっただけなのだが、逆に彼の邪魔になってしまった事に、物憂げな表情を浮かべつつある。
「もう、しわけ、ありません、鹿角、さま…けほっ」
咳をしながら、伏鹿角の方を見る。
伏鹿角は、雪消癒遊をどうしようかと考えていた。
今は、迷宮へと潜る時だ。
彼女が居たからと言っても、元に戻る様な事は出来ない。
脱出用の術具も、決して安くはない。
何度も、使用する事は出来ないと、伏鹿角は思っている。
「鹿角、さまの邪魔はしません、ですから、どうか、この私を、雪消癒遊を、どうか、一緒に連れて行っては、くれませんか?」
彼女の悲痛な願いに、伏鹿角は考える。
彼女を無理に動かせば、病魔が蠢いて彼女の体を蝕んでいく。
だから、出来る事ならば、迷宮から脱出して、今すぐにでも、病院か、ベッドの上で寝かせるのが先決だろう。
「…(なんでそんなに、悲しそうな顔が出来るんだよ)」
伏鹿角には分からない事だった。
雪消癒遊は、伏鹿角の事を思い続けている。
伏鹿角は、彼女の願いとは裏腹に、彼女が存在する事で得られるメリットと言うものを考えてみる。
「…お前の術具は、とにかく優秀だからな…無理したら、すぐにでも、連れて帰るからな、その選択が、俺にとってどれ程不利益かを考えてくれよ」
遠まわしに彼女と言う存在を厄介だと思っているかの様な口ぶりだが、伏鹿角なりの気遣いなのだろう。
事実、彼の言葉に、雪消癒遊は嬉しそうな表情を浮かべている。
伏鹿角と共に、迷宮を探索しても良いのだと言う許可が下りたのだ。
ゆっくりと歩いて行って、伏鹿角の方に近づく。
遠くから見つめなくても良いので、雪消癒遊は嬉しそうな表情をしていた。
「決して、お邪魔になるような真似はしません…」
と、雪消癒遊は言った。
伏鹿角は、内心では、彼女の言葉には誤りがあると思っている。
「(こと、戦闘に関しては、むしろ俺の方が邪魔になるだろうな…)」
雪消癒遊の能力。
それを鑑みれば、伏鹿角よりも、彼女の方が強いと言う事になる。
何せ、伏鹿角が所持している術具はあくまでも、この迷宮で拾った代物。
対して、彼女、雪消癒遊の持つ術具は、異世界と言えども、白院の歴代の術具である。
家宝として扱われる以上は、その能力も相応なものだ。
だから、それを使役出来る雪消癒遊は、他の術師よりも、はるかに強い、上位者としての立ち振る舞いを感じつつあった。
平行世界からヒロインが俺を抱き締めにやってくる、どうやら平行世界の俺は死んだらしい、逆に俺の世界にはお前らは死んでんだよ、現代和風ダンジョン攻略、現代ファンタジー 三流木青二斎無一門 @itisyou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。平行世界からヒロインが俺を抱き締めにやってくる、どうやら平行世界の俺は死んだらしい、逆に俺の世界にはお前らは死んでんだよ、現代和風ダンジョン攻略、現代ファンタジーの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます