第17話
土産物店が軒を連ねる坂道で、おれ達は土産物を見ていた。
「なあ、白鳥。このウサギとネコ、どっちの方がいいと思う? 恵美に買っててやろうと思うんだけど」
ちりめん細工のマスコットである。
「私は、あの蛙が良いと思うわ」
「……お前に聞いたおれがバカだった。ウサギにしよ」
何で、今度小二になる女の子に、両生類がいいとか思うんだよ。
「でも、意外とかわええで、あの蛙」
デフォルメされてるからな。
「それよりも、私は、あっちの店のあの刀が欲しいのだけど。五万円なら、買ってしまおうかしら」
「好きにしろよ、プチセレブさん」
刀が欲しいとか、本当に中二病だよな、アイツ。
小六の修学旅行で、木刀を買ったおれと同レベルだ。
白鳥様、刀お買い上げだ。
何か、嬉しそうだ。いい買い物したって顔をしている。
その後、いろいろ回って、昼食。
デザートの宇治抹茶パフェを食べながら、白鳥が一言。
「高村君、何だかテンションが低いわね。せっかくの古都、京都に来たのだから、もっと楽しみなさいよ」
もしかして、感付かれたかな。
「いや、別に。おれ、歴史とかに詳しくないから、そこに行っても、あまり感動とかが無いのかもな」
白鳥も薫も、歴史は得意分野だし。
「前、一緒に来た人たちとは、歴史トークで大いに盛り上がったのに。高村君の無知度が残念で堪らないわ」
「悪かったな、無知で」
あの写真の四人は、皆、歴史オタクなのか。
「『仏像、萌え~』とか言っていた彼は、今どうしているかしら……」
そいつ、大丈夫か?
「いや、そこまでは言ってへんと思うけど」
「彼等の要望で、京都へは二回も連れて行ってあげたのよね」
「そやね。二回目の夏は、美和子が熱中症で倒れたんやったな」
「そんなことも、あったわね」
その後の幼馴染トークに全く付いて行けないおれであった。
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