第14話
「でも、美和子もそれに気付いたんやろな。……秀に出会う前の、中学の時や」
薫が、もう一枚、写真を取り出す。
「同じ部活、いや、研究会やったな。美和子とそこに写っとる二人しかメンバー居らへんけどな」
写真には、白鳥と薫と、知らない男子が二人写っていた。周りの風景からして、撮影場所は清水寺だ。
「そういえば、たまに話してたっけ。『心霊研究会』か。アイツらしいよな」
本来、白鳥は恋愛相談よりも、心霊相談の方を求めている。しかし、そう上手くはいかない。
高校生の悩みは、心霊よりも恋愛の方が多いに決まっている。
「趣味の合うのが見つかって、あの時の美和子は楽しそうやったよ。……でも、それから、いろいろあって、その二人とは疎遠になってしもたみたいやね」
確かに、この写真の白鳥は微笑んでいる。
両親と一緒の写真ほどではないけれど。
「で、高校に入って、出会ったのが秀って訳やね」
「まあな」
出会った当初の白鳥は、「呪う」を連発してたな。
「……何で、美和子は秀を選んだんやろね?」
薫が意味有り気に呟いた。
「何でって……」
そういえば、何でだ?
成り行きで、白鳥の下僕にされてしまったおれだが、何故白鳥がおれを選んだのかは、はっきり言って知らない。
ていうか、薫に言われるまで、その疑問に気付かなかったおれもどうかと思う。
よくそれで、一年も付き合ってこれたなとも思う。
「まぁ、分からへんなら、今度、美和子に聞いてみぃ」
「ああ、そうだな」
もし「下僕っぽい顔をしていたから」とかいう身も蓋もない答えが返って来たら、どうしよう。
……まあ、いいや。
「あ、今回話したことは、美和子には言わんといてや。何も聞いてない振りしといてや」
「ああ、分かってる」
白鳥にとっても、あまり知られたくない事だしな。
その後、薫と別れて、何も考えずに、すぐに眠った。
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