第7話

バスを三本乗り継いで着いた先は、のどかな田園地帯であった。

 白鳥家がプチセレブであることから、まあ予想はしていたのだが、逢坂家もけっこうスゴイ。

 薫の話によると、逢坂家は元大地主。今見えている田んぼや畑は、全て逢坂家の所有地。

 現在、農地は近所のお年寄りや仕事の無い若者に耕してもらっているそうだ。

 五年前までは、旅館も経営していたらしい。

「まあ、農業はそんなに儲からへんし。オトンは警察官、オカンは、今は普通の主婦やし。……一応、お金はそこそこ持っとるけど、美和子の家に比べたらアリみたいなもんやで」

 ちなみに、白鳥の本家はイギリスにある。

 おれのイメージでは、城。


「着いたで。ここがわいの家や」

 古風な日本家屋であった。

「……ボロい」

 優がボソッと呟いた。

「ちょ、お前、何てことを……」

 こういうのは、古風とかわびさびとか言って誤魔化すんだよ。おれの弟のくせに、ボキャブラが足りないぜ。

「あなたの弟だからでしょう、高村君? あなただって、語彙力が豊富な方ではないと思うわ」

 だから、心を読むなって……。

「ええよ、ええよ。ボロいのは本当のことやし」

 薫って本当にいい奴だよな。

「……で、秀たちが泊まるんがこのボロ旅館、その裏にあるんはわいとオトンとオカンが普段住んどるボロい家。見た目はボロやけど、中の設備はちゃんとしてはるから、安心してや」

 ボロを引きずり過ぎだぞ……。

「じゃ、オトンは仕事やから、オカン呼んで来るな」

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