どうだった?

出てきた僕を蒼が迎えに来る。


蒼:「どうだった?」


理一:「バッチリだったよ」


蒼:「よかった」


僕達は並んで歩いて行く。


店員:「では、明日お待ちしております」


蒼:「はい、よろしくお願いします」


蒼の言葉に僕も頭を下げた。蒼は、さりげなく手を握りしめてくる。

別世界むこうから、両親を呼んできたいぐらいだった。でも、それは出来ない。

どうしたらいいのかな?

写真ぐらいは、渡せたりするのかな?


蒼:「りっくん」


理一:「えっ?」


僕は、その言葉に驚いて顔を上げた。


蒼:「どうしたの?急に大きな声を出して!」


理一:「ごめんね」


どうやら、空耳だったらしい。蒼は、驚いて僕を見つめていた。


理一:「今、何か聞こえなかった?」


蒼:「ううん。理々花が、えっ?って大きな声で俺に言ってきただけだよ」


理一:「ごめんね!何か聞こえた気がして」


蒼:「疲れてるんだね!明日の為にも今日は早く帰ろう」


理一:「うん」


そう言って蒼は、僕を引っ張っていく。さっき、別世界こちらに来たばかりだから…どうやら僕はおかしくなっているらしい。時差ぼけとかの類いだろうか…。


駅に着くと蒼が切符を買ってくれてる。改札を抜ける為にいったん手が離される。そして、もう一度繋がられる。


ホームに降りるとまた虹色の電車が停まっていた。


蒼:「まただね」


そう言って、蒼はまた僕をブルーの車両に連れ込んだ。


理一:「他の色もあるよ」


蒼:「この色がいいんだよ」


そう言って、蒼はニコニコ笑ってる。


理一:「そうなんだね」


僕は、蒼にあげたシャツが思い出せそうになかった。別世界むこうでなら、あげた。

この色みたいなシャツを、蒼が花岡さんとデートをするって言うから…


蒼:「明日になれば、俺達は夫婦だよ!一緒に住むし、キスもやっと出来る。その先もね…。長かったね」


理一:「うん」


長かった。僕には、本当に長かった。

この世界でも、僕達はそうだったのだろうか?

なかなか、付き合えなかったのだろうか?


蒼:「やっと、一緒になれるね」


理一:「うん」


よくわからないけれど、話を合わせておいた。僕は、物心ついた時から蒼が好きだったから…。本当に長かった。


蒼:「幸せになろうね」


理一:「うん」


やっと、その気持ちが報われる。その為に僕は、あおを捨ててこの場所せかいに来たんだ。


蒼:「ねぇー。この、別世界せかいにりっくんが来たのは、俺と結婚する為?」


理一:「何言ってるの?」


蒼:「俺気づいたんだよ!りっくんがいなくなって愛してたって事に…」


プシュー


電車の扉が閉まる。ガタンゴトンと進みだした。僕は、流れる涙を拭えずに、ただ目の前にいる蒼を見つめていた。

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