お待たせ
蒼:「それ、めちゃくちゃ可愛い」
蒼の頬が嘘みたいに赤くなる。
理一:「見た事なかったっけ?」
蒼:「ない、初めて!それ、つけてくれたんだな」
蒼は、そう言って僕の左薬指を指差した。どうやら、この指輪は
理一:「うん」
蒼:「やっぱり、理々花に似合っててよかった。あっ、俺も着替えて行かなきゃ!間に合わない」
理一:「行こう」
蒼は、サッと僕の手を取って早歩きをする。暫く歩くと一件の赤い屋根の家に止まった。
蒼:「着替えてくる」
理一:「待ってるね」
蒼は、サッと家に入っていった。僕は、蒼がいなくなって空に左手の薬指をかざした。この世界の色と調和してる。
理一:「綺麗」
母さんと父さんの顔が浮かんでくる。見せてあげたかった。僕のこの姿。二人は、何て言うだろうか?「理一、よかったね」って泣いてくれるだろうか?僕のこの姿を見て、二人は何を思うのだろうか…。
蒼:「お待たせ、行こう」
蒼は、シャツを着て現れた。当たり前に、僕の手を握りしめて歩き出す。
幸せ過ぎて、いつ消えたって構わないって思う。
理一:「結婚式は、いつだっけ?」
蒼:「何言ってんの?明日だよ」
理一:「あ、明日」
蒼:「そうだよ!本当は、今日行かなくてもいいんだけど…。ほら、理々花がオーダーしてたウェディングドレスが出来上がったのが今日だったから!あっ、俺は、明日まで楽しみにしてるから見ないよ」
そう言って、蒼は眉毛を撫でる。緊張してるんだ。
理一:「そうだったね!急ごう」
蒼:「うん」
蒼は、僕の手を引いて行く。暫く歩いて、駅についた。ずっと、手は繋がれたまま。
蒼は、切符を買って僕に渡した。
理一:「ありがとう」
蒼:「うん」
改札を抜ける為に、いったん手が離れた。寂しくて堪らなくなる。
そう思ったのは、僕だけじゃなかったみたいで!蒼は、改札を抜けたらすぐに僕の手を握りしめてくる。ホームに降りると虹色の電車が停まっていた。
蒼:「期間限定の虹色だって!ランダムだから、いつあるかわかんないのに…。まさか、乗れるなんて!水かかったお陰だな」
そう言って、蒼はニコニコ笑ってる。一両一両色が違う。中も同じ。蒼は、ブルーの車両に連れてく。
蒼:「いつかの日に」
理一:「うん」
蒼:「君がくれたシャツの色に似てない?」
理一:「えっ?」
プシュー
扉が閉まって、電車が動き出した。
今、蒼は何て言った?
僕が渡したシャツの色?
僕は、この世界でシャツをあげた記憶はない。
いや、忘れてるのか?
思い出さなきゃ…。
思い出さなきゃ…。
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