何で、応援してくれんの?
蒼:「なぁ、りっくん」
理一:「何?」
蒼:「何で、昨日と違って応援してくれんの?」
理一:「それは、蒼が花岡さんの事好きになろうとしてるってわかったからだよ」
本当は、違う。蒼とお別れするからだ。もう、この世界に僕は帰って来ないから…。だから、どうか蒼には幸せでいて欲しいんだ。
蒼:「俺、花岡さん好きになれるように頑張るよ!だから、りっくん。一生見守ってくれよな!俺の事」
理一:「うん、わかってる」
一生見守れなんて、残酷な言葉がよく言えるよ蒼。笑いながらも、心はどしゃ降りだった。ねぇ、蒼。僕が女の子だったら、蒼はそんな言葉を言わなかったよね?最後に気持ちをぶちまけて、キスなんかしたいけど…。残される僕を思うとそんな事は出来なかった。
蒼:「あー、明日。楽しみだなー。緊張で寝れそうにないよ!」
理一:「そうだね」
蒼:「りっくんも恋しなきゃ勿体ない!好きな人出来たらすぐに教えろよー」
屈託なく笑う蒼の笑顔が、僕は大好きだった。そのサラサラのストレートの髪も、くりくりした目も、アーモンドみたいな形も、ぷっくりとした唇も…。全部、全部、大好きだった。
理一:「まだまだ、出来ないよ」
蒼:「勿体ないよ!彼女作って、色々楽しまなきゃ」
色々か…。僕は、蒼と色々を楽しめない。ここにいると惨めになるだけだ。妥協して、誰かを好きになるなんて出来ないし…。僕は、蒼以外と恋に落ちたくなんてなかった。
理一:「そうだね」
ぎこちなくなっては、いないだろうか?きちんと笑えているだろうか?
蒼:「女子は、優しいよ!そんな苦手みたいな顔しちゃ、イケメンが台無しだよ」
ギューっと蒼に両頬をつねられて顔を近づけられる。このまま、キスしてよ!蒼。
蒼:「何で、目閉じんの?」
理一:「睫毛入ったかも!痛くて」
目を閉じた自分に驚いて、咄嗟に嘘をついた。
蒼:「見せて」
そう言って、蒼はさらに僕に近づいてくる。息が顔に当たる。キスしたい。この世界の蒼とキスしたい。
蒼:「大丈夫そうだよ」
理一:「ありがとう」
ドキドキが止まらない。心臓が口から出そうって意味が、初めて理解出来た気がする。
蒼:「こないだドラマで、男同士がキスしてたけど!気持ち悪いよなー!」
ズクンって、心臓が何かに撃たれたみたいな痛みが走るのを感じた。
うんって、頷けたかわからない。兎に角、気持ち悪いが頭を回ってる。
蒼:「あっ!花岡さんに連絡しなきゃだわ!後で、また来る」
そう言って、蒼は僕の部屋から出て行った。
理一:「あ、あ、あ、あ、う、うっ…」
口を必死で抑える、声が聞こえないように必死で…。涙がボトボトと音が聞こえてきそうな程、流れてくるのがわかった。
どうして、この世界の蒼は僕をこんなに傷つけるんだよー
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