母の想い
父:「父さんは、のぼせたから先にあがるぞ」
理一:「うん」
父:「理一、おやすみ」
理一:「おやすみ」
父さんは、僕の頭を撫でて体を流してから上がって行った。僕は、その背中を見つめていた。でも、あのオルゴールがないと僕は帰れないよな!
ザバーンと風呂から上がって、体を洗って上がった。タオルで、体を拭いて洗面所の鏡に映る自分を見つめていた。
どれだけ、この体が嫌だって思っていたかわからない。だけど、もう明日には別れてしまうと思うと意外に寂しい気持ちが溢れてくる。僕は、洗面所を後にしてキッチンに向かった。
母:「理一、蒼君に明日お別れいいなさいよ」
母さんは、僕に水を差し出してきてそう言った。
理一:「わかってる!父さんは?」
母:「何かね!もう、寝ちゃった」
いつもなら、理乃がいなくなったリビングでニュースを見てるのに…。
理一:「そっか!理乃は?」
母:「ソファーで寝ちゃった!また、後で起こすわ」
母さんがそう言うから、僕は理乃を見に行く。
理一:「理乃、悪い兄ちゃんでごめんね」
そう言って、理乃の手を握りしめた。
母:「理一、大丈夫」
母さんも隣にやってきた。
母:「母さん、理一が自殺しようとしたの知ってるの」
その言葉に、僕は母さんを見つめる。
母:「あの日、蒼君が何か言ってるのを聞いたんでしょ?」
蒼が、気持ち悪いと言った日。僕は、帰宅して洗面所の鏡の前でI
母:「理一は、充分苦しんだの。だからね、もう幸せになる事だけ考えていいんだよ」
母さんは、そう言いながら僕の頭をよしよしと撫でてくれる。
理一:「ごめんなさい」
母:「何で、理一が謝るのよ!謝らなきゃいけないのは、母さんの方よ!理一を女の子に産んであげれなくてごめんなさい」
母さんは、そう言って泣いてる。僕も、涙を止められなかった。
母:「
理一:「母さん」
母:「母さんは、理一が生きてくれるだけで幸せだから…。理一を守る為だったら母さんも父さんも何だってするよ!だけどね、こっちでは理一みたいな人に向けられる酷い言葉や嫌悪や好奇な眼差しがなくならない。母さんは、もう、その言葉や視線から、四六時中理一を守ってあげられないの。だって、こんなに小さかったあなたは母さんと父さんの手を離れてしまったから…。理一、ごめんね」
母さんは、そう言って僕を抱き締めてくれる。ずっと、二人が僕を守ってくれていたのを初めて知った。出来る事なら、母さんと父さんに守られていたあの日が永遠に続けばよかったのに…。
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