家族団欒

母さんの作った、シーフードシチューは、体にゆっくりと染み渡っていく。


父:「いやー、やっぱりシチューは最高だな!なぁ!理一」


理一:「うん、美味しいよ」


母:「ありがとう」


この15年間、当たり前のように過ごしてきた。僕は、ずっと男としての生涯を過ごして生きて行くと思っていたし…。蒼とは、ずっと友達でいるしか出来ないって信じていた。


父:「もう一回注いでくれるか?理一」


理一:「うん」


僕は、父さんのグラスにビールを注いだ。


父:「おっとっと!ゴクッ、うまいなー。理一が、注ぐビールは宇宙一うまい」


理一:「大袈裟だよ」


父:「大袈裟なもんか」


父さんは、そう言ってニコニコ笑ってる。


母:「寂しいのよ!理一が、いなくなるの」


母さんは、そう言って口に左手の人差し指を当てて笑った。


理一:「僕だって、寂しいよ」


母:「家族はね!死んじゃたり、離れちゃたら終わりじゃないのよ!ずっと、ずっと続いてくんだから!だから、理一は、気にせず羽ばたいて行きなさい」


理一:「母さん」


母:「寂しくても、悲しくても、自分の幸せを優先して生きなさいよ!親はね、子供が笑顔でいれるだけで他には何にもいらないのよ」


そう言って、母さんは僕の手を握りしめた。


母:「理一が、苦しいとか悲しいとか死にたいって思ってしまう世界なんでしょ?ここは…」


僕は、ゆっくり頷いた。


母:「それなら、そっちに行きなさい。理一が、生きたいって思える世界で笑ってるだけで!母さんも父さんも幸せなのよ!」


そう言って、母さんは立ち上がった。多分、ケーキを取りに行ったんだと思う。


理乃:「何、何!誕生日?」


母:「今日はね!お兄ちゃんの誕生日なの」


理乃:「お兄ちゃんの誕生日は、来月でしょ?」


母:「理乃が大人になったら、お母さんがおしえてあげるから」


理乃:「大人っていつー?」


母:「後、11年後」


理乃:「長ーい」


父:「ちゃんと今日の事覚えてような!理乃」


理乃:「うん」


母さんは、ローソクを立てて火をつける。


母:「ハッピーバースデー理一」


母さんと父さんは、ハッピーバースデーを歌ってくれる。


母:「理一の世界が幸せでありますように…」


理一:「ふー」


僕は、ローソクを吹き消した。


父:「幸せでありますように」


父さんもそう言って、拍手をした。


理乃:「幸せですように」


理乃も笑っていた。


母:「切ってくるね」


母さんは、そう言ってケーキを切りに行った。


父:「理一」


理一:「何?」


父:「風呂入ろうか?後で!」


理一:「いいよ」


母さんが、ケーキを持ってきてくれてみんなで食べる。Shellのケーキをもう食べれないと思うと僕は、泣いていた。


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