おじさん
おじさん:「気ぃすんだか?」
理一:「はい」
おじさん:「ほんなら、よかった」
理一:「でも、じゃあ、これは?」
おじさん:「夢やない!男やから」
理一:「それなら、僕は…」
おじさん:「大丈夫!私を信じて!それを使ってごらん」
そう言って、おじさんは僕の手を握りしめる。
理一:「でも、どうやって使うんですか?」
おじさん:「これを開くと中にアクセサリーを入れられるようになってる。そこに、君の好きな人の写真を入れて、オルゴールを回すんだ。音楽が流れている間に眠りについてごらん!いい事があるから!そして、目が覚めた時、田宮海花(たみやうみか)を探して会いに来てくれるかな?」
理一:「わかりました」
おじさん:「じゃあ、気をつけて」
理一:「はい」
僕は、おじさんに頭を下げて走り出す。手には、さっき渡されたハート型のオルゴールをしっかりと握りしめてる。
流れる景色が、キラキラ輝いて見えてる。それは、きっと生まれ変わる世界線で僕は蒼といれる気がするから…。バタバタと家に帰る。鍵を閉めて二階に駆け上がる。僕は、机の引き出しを開ける。
「あった!」
大好きな蒼の写真だ!
ハート型のオルゴールを開いて、中に写真を入れる。
「蒼、待ってて!花岡さんとあんな事やこんな事をしないで!僕を待っててよ」
オルゴールのネジを巻く。そして、僕はベッドに横になって目を瞑った。
2年前ー
宮村:「なぁ、なぁ、羽村って男好きだってー」
関川:「えっ?マジで!」
宮村:「マジ、マジ」
関川:「何で知ってんの?」
宮村:「3年の柏原先輩と手繋いで歩いてたってさー」
関川:「うっそー!キモー」
宮村:「同じクラスじゃなくてよかったよなー。星野はどう思う?」
僕は、体操服に着替える教室に入れずにいた。そして、外で聞いていた。
蒼:「男が好きなのは、ちょっと気持ち悪いよな」
宮村:「だよなー!キモイ、キモイ」
その言葉に、胸が抉られるように痛くて息が出来なくなる。
関川:「でもさー!ちょっと、香月って女っぽくないか?」
蒼:「やめてくれよ!そんな気持ち悪い事言うなよ!りっくんは、そんな人間じゃないから」
その言葉に、さらに傷ついた。消えたい、死にたい、生きてたくない。グルグル、グルグル回っていた。僕は、この日気分が悪いと体育の時間を保健室で休んだんだ。
目の中に熱いものが沸き上がってくるのがわかる。僕は、泣いてる。どの世界線に行っても蒼とは付き合えないのがわかってるから泣いてるんだ。
神様、どうか、どうか…
僕が、蒼と…。
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