第17話 フタツニヒトツダァ!
「アヒャ、アヒャヒャ……。言いたい放題言ってくれたガナァ! オマエラはここでオワルんだヨォ! オレはナァ! ラミカを媒体にして世界を白く染めるンダ!」
「世界を白く染める? そんなことをして何が楽しいんですか」
「楽シイサァ!? 今、オマエの姉は世界中の
「それは、わかっています」
「ソレダケじゃないゼェ!? 絶望の闇に飲まれたコイツハ! 負の力で聖なる力を変えようとしているノサァ!」
「負の、力……。それって、まさか!」
叔父さんはニヤリと笑った。
「アアソウダ! オマエナラよくわかるだろう!? 呪いダヨォ!」
叔父さんは両手を掲げ、天を仰ぎ、恍惚の表情を浮かべた。
「このセカイのヤツラハァ! バカデオロカダ! 白は聖なる力だと信じテイル! それがセカイをツツム! この世界はスバラシイト! 自ら光を浴びに行くダロウ! するとドウダァ!?」
叔父さんは目だけ動かし私を見た。
「聖なる力だと信じていたモノハ! 呪いダッタ! 身もココロモ絶望に陥るダロウ! アヒャ、アヒャヒャ! サイコウニ楽シイジャネェカァ!」
「…………」
そんなの、一つも、これっぽっちも楽しくない。悲しいだけだ。
それに、そうだ! そんな事をしたらっ……。
「お姉ちゃんはどうなるんですか!?」
「アー?」
「そんな事をしたらっ……、お姉ちゃんはっ……」
「死ヌナァ」
「——……」
「生キテいたとシテモォ、人間じゃイラレないダロウナァ」
「そんな……」
こういう時、私は何で
ううん、大丈夫だ。
私だから感じる、
お姉ちゃんを包む白い光の糸は、聖なる力から闇の力へと変化していき、呪術の魔力となっていく事が。
私だから、できる。お姉ちゃんを、助けられる。
「アヒ、アヒャヒャ。メヒアァ、オマエは、姉を今、助けられると思ったダロウー?」
「思いましたが、何か?」
「ヒヒ、アヒャヒャ! もしそうなら! お前は世界を見捨テル悪女ダナァ!」
「どういう事ですか」
「仮ニィ!? 姉を救えたトスル! その間に世界中の人間は白キ呪いを浴びて死ンデいくダロウ!」
「…………」
「またまた仮ニィ!? 世界を救えたトスル! その間ニィ!? オマエの姉は死ヌか! 化け物にナルダロウ! ソレコソ! 繭から生まれる蚕ミタイニナァ!」
「…………」
お姉ちゃんを見てみた。
人間の部分は見えなくなり、白い光の糸で包まれ、繭になっている。その繭が、繭自体が、生き物みたいに鼓動し、ドクンドクンと動いている。
だから、多分、叔父さんの言っている事は本当だ。
「ダカラ、オマエが選べるのはフタツニヒトツダァ! 姉を救イ、世界を見捨テルカ! 世界を救イ、姉を見捨テルカ!」
「…………」
「サァ! 選ベェ! メヒアァ!」
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