第5話 チーム組むときって不安だよね


「お~お前も勝ったのか!」


「たりめーよ!何年テメェに付き合わされてると思ってんだよ」


ここは夕食の席、中居さんと美空さんと知らないおっぱ……美人と五人で炒め物を食べていた。


「そういえば、すみません、中居さんのお名前は………?聞きそびれていたなと」


「私ですか?中猪乃白と申します。中くらいのイノシシ、で中猪です。旅館とかの中居さんと一緒にしないで下さいね?」


「あ、どうも。よろしくお願いします。でも良いんですか?こんな美人を3人も付けて、俺たちみたいなアホは何するか分かりませんよ?」


俺はなんかまだ裏がありそうな中猪さんに距離を置く。というか女の子しか回りに居ないとか美人局を警戒するよね。


「いきなり飛び掛かった件ですか?アレは貴方も話してもムダだと知ってるからそうしたのでは?」


「いやまあそうなんですがね………美空さんの火球を見てたんで、撃たれたら堪らないと咄嗟に」


「咄嗟に動ける人って決断力があって好きですよ?」


……………コレは俺たちをおだててその気にさせる気か?あんまり良い気がしないんだけどな………


「そういやさ、トシは誰と戦わされたんだ?」


「ああ、目の前に居るスミちゃんとだな。スミちゃんがゴブリンみたいなのを出してさあ、首締められた時は焦ったよ」


「へぇ!ゴブリン!いや、和風に言うなら餓鬼とかか?そんなん出せ………スミちゃん?トシお前いつの間にそんな仲になったんだ?」


「いつまでも警戒してても仕方無いだろ?こっちを痛め付けるつもりならとっくにやってるだろうしな。それに、何の因果か美空お嬢様のお付きにならされたんだから」


「それだよ……いくら人手が無いからって箱入り娘みたいな娘に見ず知らずの男を付けるか?2人も。」


「そこについては私が説明させてください。一言で言うと陰陽師家がわりとアホが多い事と、カナミ様が良いんじゃね?って言ったからですね。」


「アホって……テロリストが居るらしいのにお家騒動でもやってるのか?カナミ様ってのは夢に出た人かな」


「まあ!両方大正解です!」


そこですみっこに居たスミちゃんが吐き捨てる様に言う。


「優秀でマトモな人は婚約者が居るか死にましたからね~ぶっちゃけ、超能力者も台頭してきてるし、裏の事なんて公表して好きに結婚させろってんですよ~」


中猪さんと美空ちゃんも微妙な顔になる。


話を変える様に美空ちゃんは聞きたい事がある、と訪ねてきた。


「そういえば2人とも、何でそんなに肝が据わってるんです?」


俺はハイライトさんが居なくなりかけた目で答える


「軽トラに跳ねられるのやイノシシにどつかれるのに比べたらまだ優しいんじゃない?」


「あ~トシくんがゴブちゃんを締め殺せたのもそういう~」


あ、スミちゃんが復活した。



「いやあ、生き物をむやみに殺すのは良くないけど、釣り人とか釣った魚を殺してるし、農家も害獣を殺してるじゃないですか。必要に迫られたら殺せるタイプの人間が身近に居たってだけのハナシですよ」


トシ………お前もハイライトさんが行方不明じゃないか。


「お二人は田舎からこられたんですか?」


「まあ、そんな所です。」




それから5人は他愛の無い世間話をしながら夕食を終えて床に着いた。








ーーーーー翌朝ーーーーー





「あ゛ーー」


「う゛ーー」



俺たちは霊石を抱えてゾンビの様な呻き声をあげていた。







「バッカじゃないの!一晩中霊力を流す事を掴んで使いこなす為に霊力ぐるぐるしてたの?!」


「だってスタート地点が違うし、魔力を意識出来る様になってちょっと頑丈になっただけなんだから、もっと頑張らないと」


「タカギも頑張ってるしな」


トシが変な風に乗っかってくる


「えっ高城さんとお知り合いなんです?」


あ、いやその高城さんは人違いです………






「さて、昨日は本当に戦えるかを見た。今日は2人に自分の力の方向性を決めて欲しい。」


一昨日から先生と呼んでいる刀矢さんが道具をいくつかひろげながら俺たちに問う。


「今は少しでも人手が欲しく、君たちはその手となりえる資質があると分かった。なら次は伸ばすのだ。カナミ様からは細かい説明は無くても分かるとの事だが………」


「あ、はい。ただの身体強化から次だから……属性?和風に言うと木火土金水ってヤツですか?昨日のアイツが燃えてたみたいな」


「ああ、ほかに澄子嬢の式術や遠見、占術等変わり種はあるが、基本の色を決めてそれを伸ばすのが通常だ。そしてこれがその道具になる。」


差し出されたのは六角形の分厚い鏡だった。縁に細かい装飾が凝らされていて、見るものを吸い込む様な雰囲気があった。


「コレに霊石を握って回す様に霊力を回せ。すると鏡に写った自分がその霊力の影響を受ける。炎なら燃えて、水なら濡れる」


なるほど、と俺は鏡を受け取り霊力を回す。すると鏡の中の俺がアメコミの緑色のヤツみたいにムキムキになった。それはもう服もパツパツで。うわキモ


「ぬ…………ん………身体強化に並々ならぬ適正があるようだな……………」


「ブワハハハハハ!なんだそれ!キモいな!」


俺は苦笑いしながらもトシに鏡を差し出す。

属性魔法は諦めた方が良いかな………(´;ω;`)


「さて、と。俺は何に向いてるだろうかっと」


トシが鏡に霊力を回し始める。すると鏡の中のトシの回りに人影が沢山映り込んだ。


「ふむ………2人とも特殊なモノか………やはりあの方が引き入れよと言っただけはある………トシくん、術は今度澄子嬢に習うと良い。式術に才がある。」


俺は?と刀矢さんの顔を覗き込む。


「あー………ボディービルダー……とか、やる?」


「火出したり、水出したりは……出来なさそうですかね?」


「まあ……頑張れば出来なくは無いだろうけど、君なら殴る方が早くなるんじゃないかな」


「わ……………わかりました……」


そのあとめっちゃ刀矢さんと修行した、お昼になった





「さて、2人が来て3日目だからそろそろここに来た最大の理由、妖怪開放戦線の「光明」について説明するわ!」


美空ちゃんが中猪さんと澄子さんを控えさせて得意げに説明を始める。


「妖怪開放と言っても妖怪達を現代から排除しようとする団体よ!超能力者が多いわ!そしてボスの「アキラ」って奴は凄い力を持ってるんですって!」


「「え?超能力」」


「そうよ。超能力といっても体系化されてない陰陽術みたいなモノで本質は同じね。何かのキッカケで異能に目覚めたけど、陰陽師や魔術師にならなかった在野の人間。それが俗に言う超能力者よ。」


「ああ、なるほど。術ではなく力そのものを使うから超能力者ですか。」


するとトシは不思議はそうな顔をして何が違うのか聞いて来た。まったくコレだからアホは


「いいか?霊力、魔力、チカラが食材だとするだろ?料理して食うのが陰陽師や魔術師、そのままかじりつくのが超能力者って事らしい。分かったか?」


「おお!なるほど。いつもはアホなのに冴えてるな!」


「2人とも~仲がよろしいんですね~」


「「やめい!」」



「で、だ奴らは数が多い。バラバラに行動されたら此方では対処しきれないからこうしてスカウトしてるんだ。君たち以外にも何人か居るからまた今度紹介しよう」


中猪さんがそう言って話を締めると同時に部屋の外が騒がしくなる。ドタドタと足音がして襖が開く。


「お前ら!早速の仕事だ!お嬢さん達に傷一つ付けんじゃねぇぞ!キズ一つにつき10回は切ってやるから楽しみにしておけ!」


「「はい!刀矢師匠!」」


「先生と呼べ!」











――――とある廃屋


「美空ちゃん、待っててねボクが迎えに行くよ。君はそんな窮屈な所に居るべきじゃない!ましてやあのおじさん2人はなんなんだ!いきなり現れてボクが助けるハズだったのに!活躍を奪いやがって許さない許さない許さない!ぜえったいに!ゆるさない!」











「うわ、なんか寒気がする。」


「大丈夫?車の暖房入れようか?」


「いや、良いよ。大丈夫」


「そう?」


俺たちは今、超能力者が現れたと言う場所に向かっていた………

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