第2話 陰陽師モノって良いよね
「知らない天井だ………」
「そりゃあ知るわけ無いじゃろ。というか天井あるか?」
俺が今居る空間はアニメやマンガとかでたまにある真っ白な空間だった………え?マジでここ何処?
「そりゃあお前さんの夢の中?みたいな感じよ」
「……ッ!すみませんッした!あなたは陰陽師とか関係のアレですか?!ああいや!自分実は何も知りませんし聞いてないですから許して下さい!2023年に陰陽師は居ないし、カッパが寿司屋してないし、妖怪解放テロリストとかも居ないですよね!知らないです!だから許して下さい!何でもしますから殺さないで!」
「ん?何でも?」
「………まさか………まさかとはおもいますが、ぬるぽ」
「ガッ」
「いや何でですか」
「ニチャニチャに来い」
「マジすか」
「だいぶ気楽じゃろ?まあ本題に入ろう。平野遊、28歳、独身、彼女無し、仕事は………陰陽師補佐付き。カッパが働く寿司チェーン店に陰陽師である茜原美空のサポートとして従事、友人の藤田俊典と共に妖怪解放思想過激派の「幸明」の構成員を取り押さえほぼ無傷での拘束に成功。しかし構成員のラストアタックにより妖樹の芽をその身体に受け意識不明。その後、夢の中で超カワボの謎の声に話しかけられる。で良いか?」
「いや、なんスか「陰陽師補佐付き」って、ぜんぜんち「そうじゃろ?」いや、「そうじゃったハズじゃ」アッハイ。」
………ヤバいなんかよく分からないけど、超常的な存在に話しかけられてる……
リアルファンタジーやったー!……とはならないよなぁ。あくまで物語だから楽しめてたんだし、え?マジで言ってる?もしかして知ってしまったから陰陽師のイザコザについていかなきゃならなくなってんの?
「まあ、そう言うな。彼女もワシ程じゃないが可愛いじゃろ」
「………心の声が聞こえてます?」
「何がマズい、言ってみろ」
「それは乗っからなきゃダメッスか?よく分かっては無いですが、状況から察するに陰陽師関係の偉い人ですよね?冗談とか返しにくいんですが。ラストアタックとか言ってましたが、何です?妖樹の芽ってのは」
「だいたい3部の肉の芽みたいなもん。あと、レベルの低い妖怪や陰陽師が受けると力が暴走する感じの奴。もともとカッパに埋め込んで暴走させるハズが追い詰められたテロリストのイタチの最後ッ屁で美空ちゃんに投げつけられる所をキミが庇った感じ」
「なるほど、で、自分はあの陰陽師に勘違いされただけの一般人だから特に暴走しなかった、と」
「いや、したよ?」
「え?いや、妖力とかチャクラとかそういうのは自分は持ってないですよ?」
「ほら、アルコール1%以下の量なら入っててもノンアルになるじゃろ?あんな感じで実用レベルではないだけで力はみんな持っててな、今回の暴走でギリ実用に届いたのよキミは」
「またまたご冗談を、少数点以下は切り捨てられるじゃないですか」
「いやーもともと陰陽師そんなに多くないからそう言わずに、さ。ちょっとだけ、先っちょだけだから。じゃそういう事で」
「あ、芽はもう取り除いてるから安心してね~~~」
そんなことを言われた後に俺の意識は覚醒した。
「ッ!ハアッ!ハアッハアッ………今度こそ、知らない天井だ……」
「何をバカ言ってやがる、あの嬢ちゃんがマジで陰陽師でカッパに感謝されて黒塗りの高級車に乗せられてヤクザの事務所みたいな所に連れてこられてんだよ!」
「簡潔でよろしい」
「で、どうするよ。身体は動きそうか?」
「いや、何か猛烈にダルい。投げつけられたのが妖怪の芽とか言うのらしくて力の弱い奴は暴走するんだって」
「把握。アレか?妖力に目覚めた?」
「らしい」
「の割には嬉しそうじゃないな」
「分かってて言ってるだろ……」
襖の向こうから足音が聞こえてきたと思うと、バッ!と開きあの時の女の子が入ってきた
「ユウ!起きたのね。身体は痛む所は無い?」
「ああ、えっ……と」
「美空よ、茜原美空。ミクって呼んで頂戴。」
「そうだった、夢の中で謎の声も言ってましたね。ミクさん、よろしくお願いします」
「ええよろしく。そっちのトシは?」
トシは俺の方に小声で詰めよって来る
(何だよお前ヤケにものわかりが良いじゃないか、それに夢の中って何だよ、この勘違いはいつまで続くんだよ)
(ここで全部勘違いでした!まったくの部外者です!って言って素直にハイそうですかって解放してくれると思うか?)
(…………)「ミクさん、ヨロシクオネガイシマス。アナタ、ノ、サポート、デキテ、ウレシイ、デス」
「上からはこれからは貴方達と組む様に言われたからね。これから頼りにさせて貰うわ。でもユウ、貴方さっきみたいな無茶はあまりしないでね。大事にならなくて本当に良かった」
「いえいえ、それより助けたカッパ達とか見て無いんですが大丈夫なんですか事後処理とかは?」
「そうね、ちょっと行ってくるわ。貴方達はまだ休んでなさい」
襖を開けて部屋から出ていくミク、足音が聞こえなくなったのを確認してから俺は絶望した。
「おい、トシ。聞いてくれよ。夢の中で誰かと会って、お前は今日から陰陽師補佐付きだって言うんだよ。しかも絶対に夢だけど夢じゃないんだよマイメ□ディ」
「誰がマイメ□だ、後その声なら俺も屋敷に来る車の中で聞いたらよ。陰陽師ってマジで居たんだな」
「しかも人が居ないからあの娘のサポートを押し付けられたっぽいんだよな。たぶん仕事は辞めた事になってそう。絶対に国とか噛んでそうだし」
「正解~~で、キミ達は何処から来たのかな?敵じゃないって言うのは屋敷に入って来られた時点で分かってるけど、立ち位置はハッキリさせておかないとね」
俺たちの前にいつの間にかキツネ目の嫌みったらしい感じの男が立っていて値踏みする用な目付きで睨み付けられる。
「ミクさんの豚」
「ミクさんの犬」
「キミ達、真面目に答えてくれるかな?」
男から圧倒的な威圧感が放出された。物凄く圧力を感じる……トシも膝を付いているな
「で、何処のネズミかを聞いてるんだ」
「いや、本当に何も知らない一般人なんですって。な、トシ!」
「寿司屋で飯食ってたら停電してミクさんが来て何故か「協力者ね!」って言われてダッシュで逃げたら目の前から変なのが来て逃げられなさそうだからタイミングを見計らって取り押さえたらコイツが倒れました!」
「………まだ少し嘘を付いてるな。私は彼女程優しくないんだ。次本当の事を言わないとこうするよ?」
男はおもむろにトシの手を握りしめ小指を反対側にひねった!
「ガッ………!わ、分かった!でも本当に寿司屋で飯食ってたら停電してミクさんが来て何故か「協力者ね!」って言われてダッシュで逃げたら目の前から変なのが来て逃げられなさそうだからタイミングを見計らって取り押さえたらコイツが倒れたんだよ!」
「違う」
「ガッ」
「ミクに協力者と勘違いされて逃げて、それからどうしたんだ?」
「へ……変なのが来て、ついさっきの女性のセリフが嘘じゃないと察して面白そうだとテロリストのセリフに口裏をあわせて付いていこうとしました!でも何かヤバい事しようとしてるみたいだから咄嗟に取り押さえました!あの瞬間まで陰陽師とか妖怪とかフィクションだと思ってました!」
「………………よろしい。嘘は無い様だな。どれ、指は治してやろう。そっちの……ユウか貴様はどうだ?同じか?」
「ハイ、まったくその通りです」
「…………では、明日から陰陽師補佐の仕事をして貰います。では」
……………
「………ップハー!何だアレマジもんの陰陽師だと思うけどスゴいプレッシャー」
「正直に言ってるのに指折りやがって……」
「いや、微妙に違ったやろ。「逃げられなさそうだから」じゃなく「面白そうだから口裏を合わせた」って言わなかったからみたいだな。嘘発見器みたいなの持ってるんだろ」
「マジかぁ………これから大変だなぁ」
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