第5話フランス料理3

料理をする前に彼らにお願いする事がある。

少し言いにくいけど。


「あの~、着替えて貰ってもいいですか…?そのままだと動きずらいと思いますし、汚れないように…。」


「楽しみですな、秀吉様。」


「そうじゃの!あははは。」


あれ?意外と乗り気だ。

せっかく着てきたコスプレを脱げって言ってるのにいいんだ。


二人の気が変わらない内に着せてしまおう。

こうして二人に厨房用の服を渡して着替えてもらい、色々間違っている所は僕が直してあげた。


「中々良いですね。気に入りました。」


「色はちいと気にくわんなぁ。全身白く、死に装束のようだ。だが、この斬新な型は政宗の言う通り中々良いのう。」


「それは良かったです。」


二人ともよく似合っているが…何故かつらは被ったままなのだろうか。

帽子被るから別にいいけど。


「料理の方はお願いします。料理の出す順番は先程説明した通りなので。」


「わかり申した。」


「任せておれ。」


二人とも楽しそうに厨房に消えて行った。

僕もオープンの為に準備を進めよう。


「よしっ!うわぁっ!!」


振り向いたらコスプレ男がいた。


「無いのか。」


「はい?」


「わしには無いのかと聞いている。」


「あっ!あぁ!ありますよ。ホール用でよければ。」


コスプレ男には僕と同じホール用の服を着て貰った。

男は全身を鏡で見渡し、頷いた。


「悪くない。」


「それは良かった。あっ、ネームプレート作っちゃうんで名前聞いてもいいですか。」


「織田信長だ。」


それはもうわかったよ。


「そうじゃなくて、あなたの本当の名前ですよ〜。」


「織田信長だと申しておるだろ!!」


「わっわかりましたよっ!」


そんなに怒らなくてもいいと思うんだけどな。

本当の名前を聞くのを諦めた。

厨房の二人にも一応名前を聞きに行く、何て答えるか予想は付くけど…。


「お二人とも、本当のお名前教えて下さい。」


「先程言ったつもりだったが…?伊達政宗だ。」


「はぁ~、お主は物覚えが悪い。豊臣秀吉じゃ。」


いや、おじいちゃんから自己紹介はして貰った覚えはない。


「やっぱりそう答えますよね。ありがとうございました。」


予想通り皆、本当の名前は教えてくれなかった。

もうこのままの名前でいこう。

織田、豊臣、伊達とネームプレートを作り、全員に渡して僕は次の準備に取り掛かった。

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