第55話 宮塚家の儀式


「ガツガツガツガツ」


「ズズズズズズズッ」


「ゴクゴクゴクゴクッ」


「モグモグモグ」


 大広間へと足を踏み入れると、中央にて一刀と文才がともに食事をしており、傍には縛られて捕らえられた楓や楓の護衛達がいた。


 そしてそんな一刀達を囲むように宮塚家、影宮家、来縁家の三家の当主達が無言で眺めていた。


 いったいこれはどういう状況なのだろうと、眞銀は首をひねる。


「眞銀や。こっちさ来い。可麗奈と天城の傍に来るのじゃよ」


 先に宮塚家に入っていた艶魅がふよふよと眞銀の傍に来ると、まるで一刀と文才の食事を邪魔せぬように案内する。


「あの神木神様。文才様達は何をやっているのですか?」


「対話をするにあたっての準備をしておるのじゃよ。宮塚家は真面目に対話をするときはまず食事をせねばいかぬからな」


「・・・・・??」


 要するにお話をしに来たと言っているのだろうが、何故にお話するだけなのに食事をするのかが意味不明だ。

 単にお腹が空いたからと言う理由ではないみたいだし・・。


「宮塚家の者とは戦の前に必ずと言っていいほど食に没頭するのじゃ。

 その意味は腹が減っては戦ができぬとか、敵と食を共にする事で貴様を食ろうてやると言う意気込みなのかは妾もわからぬ。

 わからぬが、宮塚家の者にとってこの儀式はとても大事なものであるようじゃ。

 まあ一刀は付き合わされているだけの様に見えるが、だからと言って邪魔して良いモノではないし、静かに終わるのを待つのじゃよ」


「はあ・・・そうですか・・・」


 そう言われましても、ただ一刀と文才が仲良く食事をしている光景にしか見えません。

 コレのどこが儀式なのか本当に意味が分からなくて私は首を傾げた。


(儀式かぁ・・・・・・・・・・・・そういえば初めて会った時の一刀さんも、お墓の前で似た儀式をやってたなぁ)


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