第49話 最後の女の子


 結局一刀は艶魅の言葉に耳を貸さず、壁をぶち抜いた。

 その先には相も変わらず清潔な白をイメージした壁が続いている。

 ここは病院かよと言う感じだな。


「まっ、病院などという優しい所なんかじゃないだろうがな」


 そこら中に監視カメラがありやがる。

 いちいち壊すのも面倒なほどにな。


「そりゃあそうなのじゃ! ここは来縁 咲 (くえん さき)の隠れアジトじゃからな!」


「来縁・・・要するに来縁家のクソ女がいるってことか」


「クソ女とはなんじゃ! そう言う悪口言うのはよくないのじゃぞ!」


 相変わらず煩わしい奴だ。

 うるさくてさっきから耳がいてぇぜ。


「つか、いい加減一方的に監視されるのはむかっ腹がたつな。なぁ、おい。聞こえてるんだろ? 面見せろってんだよ。じゃねぇと・・・・ぶち殺すぞ。女」


 監視カメラに向けてそう問いかける。

 無機物な監視カメラは何も反応することはないが、その変わりに天井が開き、上から梯子が降りて来た。


「はっ! 随分と物分かりのいい女のようだな」


 こういう話のわかる奴は嫌いじゃない。

 ただちょっとした脅しに屈する奴は仲間になどしたくないがな。


「じゃからそう言うの止めろというに! 一刀のぷんぷん顔はか弱い女の子にとって毒なのじゃぞ!」


 ふざけたことを抜かす艶魅を無視して梯子を上る。

 別に来縁 咲と言う女に興味はないが、俺が寝ている間にモルモットにした落とし前をつけねぇとな。

 そう思いながら梯子を上っていった。


「ビクビクビクッ」


「・・・・・あん? ガキじゃねぇか」


 そして梯子を上った先には、モコモコの暖かそうな白熊着ぐるみに身を包んだ女の子がそこにいた。


 なんかひよこだか、なんだかの着ぐるみを来た双子を思い出すな。


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