第43話 生き死にには慣れている
俺は何故か死んだ。
そして瞬時に生き返り、そしてまたなぜか死んでいく。
死んで、生きて、死んで、生きてと一秒間に何度も何度も繰り返される。
生と死の狭間に放り込まれたような錯覚に陥り、狂ってしまいそうだ・・・・普通に人間ならばの話だがな。
「この世界に来るのも久しぶりだな」
死んで生き返る僅かな時間。
そんな時間の中で一刀は狂うことなく、のんびりとしていた。
「さてと、なぜ俺は何度も何度も死んでんだろうな。流石に痛み意外に情報がねぇからわからねぇな」
能力が成長したおかげで、身体は一瞬で治ることは理解した。
そして何度も生き死にを繰り返していると、全身が一瞬で溶かされ痛みを知ることができた。
「全身溶かされるか・・・・・まさか何かデカい奴に丸呑みされて、腹の中にいるとかか? 流石に丸呑みされた経験なんざねぇから確証は持てないが、なんとなくそれが正解な気がするな」
そんな事を考えていると、ふと油のような粘ついた何かの感触と、全身の肉や骨た溶かされる痛みを覚えた。
「あ~、こりゃあ間違いねぇや。なんかの腹の中にいる。多分あの粘ついた液体は胃酸とかそんな感じのだろうな」
と言うことは身体がこの胃酸に慣れるまで耐えるだけだな。
そう、耐えるだけなのだが、ただ待っているなど暇すぎる。
なので
「――オ――!!――ガ――ガ――ダァ――!!――!!」
生き返るたびに俺を喰らったボケナスの腹をぶっ叩こうと足掻いてみた。
無駄かも知れないが、ジッとしているなど本当に暇すぎるからな。
それに、こんなに俺を殺してくれているのだ。
少しでもこのクソ野郎に仕返ししたいと思うのは当然だろ?
「―――――――――――――――――――――――――――――――――」
「おうよ! 任せろ! すぐにこのクソ野郎をぶっ殺してやるぜ! おら死ね死ね死ね死ね死ねぇぇぇぇっ!!」
生と死の狭間世界で、一刀は誰かと言葉を交わしながら、己を殺しにかかる何かを殺し返そうと足掻きだした。
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