第41話 食って食われて
異形のモノを認識してから一刀は、一人森の中を進んだ。
それもただ森の中を進むのではなく、異形のモノ達がいるであろう方向へと向かっていった。
「丸いの以外にも、四角や三角、更には人の手足のような異形もいるんだな」
休みなく襲い掛かってくる異形のモノ達を殺して殺して殺し回っているせいで、辺り一面異形の死体ができあがっていた。
ただし、できあがった死体は異形のモノ達のだけではない。
「あん?・・・・・・・・・・・ッチ、食われたか。一瞬くたばってたぜ」
異形のモノ達の死体に負けず劣らず一刀も殺されていた。
森の奥に進み過ぎた初めの頃など、数十体の異形のモノ達に取り囲まれ、何度食い殺されたことか。
ただそれも昔(二日前)のこと。
今では食い殺されていく世界の中で、殺して殺された経験を生かすことができ、この異形のモノ達の対処法も学べた。
下級だか中級だか知らんが、ここいらの異形のモノであれば十分対処は可能になった。
まぁ敵の数が多いせいで、何度も死ぬことになるのは変わらんが。
「Gabaaaa!「ガシュッ!」Gba?」
異形のモノを捕まえかぶりつく。
まるで林檎にかぶりつくように。
「くちゃくちゃくちゃくちゃ、ごっくん・・・相変わらずマズイ・・・・うげぇぇぇぇ」
食っていいモノなのかと問われれば、食ってはいけないモノだ。
毒そのモノと言っていい。
だが一刀は気にしない。
毒だろうが、猛毒だろうが、劇物だろうが気にしない。
この身体はそんな毒物を食らって死なせてくれる身体ではない。
そして苦痛を味わうことに成れども、この身体はその毒物に抵抗する為の抗体を作り生み出す。
何度も何度も何回も何回も生と死の狭間を体験し、人類が何万年かけて進化するはずの肉体を作り上げるのだ。
故に一刀は気にしない。
いや、気にしないどころか率先して食っていた。
そうすればこいつ等への抗体が、この異形のモノ達を楽に殺せる手段が手に入ると思って。
「・・ペッ・・・なかなか作られねぇな抗体。死ぬことは無くなったが、未だに吐くぞ」
そんな言葉を吐きながら一刀は異形のモノを食い、そして異形のモノに食われながら殺し合っていった。
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