第16話~ルナ~





*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ໒꒱⋆*




「ホワイト!!!一体、何が!?」



ナミによって、既にケンタウロスとなっていたエンディは、森の奥のその異変にいち早く気づきやって来ました。



「ナミが取り掛かっていた5人目の妻の創造が失敗し、鉱石が暴走を始めたのだ。エンディも早く結界の中へ。ここはもう諦めた方がいい」



「そんな…………、ナミ!!!」



エンディは、オレンジ色のその暴走の柱に向かって4本の足で向かって行こうとしました。



「待つんだ!!」



ホワイトが言霊を込めたその言葉で、エンディの動きを封じると、エンディはその場にぐったりと倒れ込んでしまいました。



「ナミを見捨てるっていうの?ナミはあの中にまだ居るんだよ?」



朦朧とする意識の中で、エンディはホワイトへ訴えかけました。



「わかっている………」



ホワイトは、倒れ込んだエンディの周囲に結界を張ると、自分はひとり、そのオレンジ色の光の柱の中へと吸い込まれていったのでした。










ルナは森の中で眠っていた

樹木と草花の匂いに包まれて、目を覚ました


「ここは……?」


ルナは、ゆっくり体を起こした


地面につくくらい、長い金色の髪

それが、ルナが自分のパーツの

最初に目にしたモノだった


私は誰なのだろう

(私の前の誰かが、居た気がするの)


私は、何処から来たのだろう

(私には、故郷があった気がするの)


顔をあげると

そこには真っ白の衣に真っ白の髪

真っ白の立派な髭を蓄えた存在が立っていた




「お前の名前は、ルナ」


その存在は私にそう呟いた


「ル……ナ………?」


私はその日から、名もない存在から

ルナという存在になった

(ルナ……そんな星が何処かにあった気がするの)


「お前は、たった今私が生み出した魂」


その存在は、そう言うと私に手を差しのべてきた


「生み出した?あなたが?」


私は戸惑った

(あぁ何か……何かとても大事な事を……

……私は忘れてる気がするの……)


「そう………そしてお前は永遠となる」


「永………遠……?」


私には、この存在の言葉の意味がわからなかった

(いいえ、とてもわかっていたの)


「お前にしか出来ぬ事がある、さぁ宮殿に行こう」


その存在は、私の手を掴むと

その場に立ち上がらせた


一糸纏わぬ姿に、金色の長い髪は

衣の様に包み込んだ


「行きたくない!!」


私は気づけばその存在の手を振り払っていた

(こんなはずじゃなかった)


「ルナ、お前は私の第5夫人となる。

拒否は赦されない」

(こんなはずじゃなかった)


その存在は、再度手を差しのべてきた


「妻にする為に生み出したというの?ひどい……」

(ひどいのは、この私)


私は今にも溢れ落ちそうな

大粒の涙を浮かべながら、訴えた

(助けて)


「夫人にするのは護る為。

私はお前を永遠に護ると約束をしよう」


「護る………」


私はその言葉に、一瞬で支配をされた

きっとその言葉そのものに

力が宿っていたからなのかもしれない

(助けて)


「わかったわ…

護ってくれると約束してくれるのなら………」


私は、その差しのべられた手に

自分の右手を乗せた

(助けて)


「約束しよう」


存在は、今度は両手で私の右手を包み込んだ


すると、一瞬で私の身体を

ロングのドレスの衣が包み込んだ


「素敵………」


私は、自分の身体を見つめながら

呆然と立ち尽くした


「宮殿で、他の夫人達の紹介をしよう」


「わかったわ……

でも、その前に聞きたい事があるわ」


「いいだろう」


「私は何処から生まれたの??」

(確認をしておきたかったの)


「私の身震いから」

(それは優しい嘘)


私は、黙り込んだ

生まれたばかりとはいえ

不思議と色々引き出せる、自分の中の

情報という名の引き出しをあけては

答えを探し求めた


「信じたくない」

(信じなくていいの)


私は、自分の右手を包み込む両手をほどくと

腕に自分の腕をからめた


「では、行こう」


その存在が歩きだした

私も遅れない様に、腕をしっかり組んで

歩幅を合わせた


暫く行くと、目の前に立派な建築物が

見えてきた


私はこれから、ここで生活をするのだ

この腕を組む存在の第5夫人として


「そうだ、名前を聞いてない。名前は?」


私は、宮殿の前で立ち止まると

その存在に向かって、名を尋ねた


「ホワイト」


ホワイトは、そう呟くと

ルナに優しく微笑みかけた。






(ここから出して、お願い誰か)




*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ໒꒱⋆*


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る