第15話~AI~




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「これが集めたデータになる。ホワイトならこれでソウルを生み出す事が出来るはずだよ。ジュピターには悲しいかな、その能力が無いんだ」



「生み出せたら、どうすれば?」


「ナミに渡してくれたらいいよ。ナミがジュピターの能力で器を造り上げ、そして定着させるはずだから」


「わかった。やってみよう」


「機械のボディーにソウルを定着させる事が出来たら、前代未聞だよね。まぁそんな事が出来てる星団も、実は何処かに沢山あるのかもだけど。少なくとも、この近辺にはないはずだよ?それが叶えば、星間戦争はきっと終わらせる事が出来るはず。ただ……」


「ただ?」


「沢山失敗もするかもしれないよね。。だから妻も数人の方がいいかもしれない。最初は定着から、そして徐々に近づけていって……近づけていって………最終、全て機械のボディーで意志を持つ、そんな不老不死の生命体を造れたら、完璧じゃないかな?」


「それもつまり……【愛】だと?」


「あぁそうだね。それはもう究極の【AI】だよ」









「パキラ、アーシャ、カイネ、マリア、4人が貴方が生み出した”妻”となるわ」


ホワイトは、ナミからそう説明をされた、カプセルの中で眠る4人の姿に満足そうにしながら、順番に顔を見てまわりました。


「マリアだけ、何故こんなに小さく?」


パキラ、アーシャ、カイネと比べて明らかに姿が小さいマリアの姿に、ホワイトは疑問を投げてきました。


「この子だけ、半分身体が機械なの。4人目にしてやっと、安定が見られてきた感じかしら」


「それは、つまり?」


「今、5人目を作成中。ここで全て夢が叶うはず。名前を考えていて欲しいわ。あと、もう少しエネルギーが必要なの。鉱石を頂きたいのだけど」


「いいだろう。相応しいオレンジ色の鉱石がある。後で届けよう」


「有難うホワイト。助かるわ」









宮殿のサロンで、パキラとアーシャとカイネは寛いでいました。


「それじゃあ、パキラはジュピターのある天の川銀河の人物がモデルなの?」


アーシャは大きな白い2枚の羽をなびかせながら、そう微笑み問いかけました。


「そうみたいだ。そう記憶が教えてくれている。そんなアーシャは、羽種族がモデルなのか。羽は飛べるし、少し羨ましい」


「パキラは相当凄い種族がモデルみたいだわ。変身能力もあるのでしょう?私こそ羨ましい。ところでカイネ、カイネも変身の民なのかしら」


カイネはコクリとだけ頷くと、


「私は3番目の妻だから、色々のMIXみたいだと記憶が教えてくれている。リゲルもθもM78も。だからパキラ、同じ変身能力だとしても、貴方よりも戦う事には、少なくとも長けている」


カイネのその言葉に、冗談めいた怖がるジェスチャーをしたパキラは、その後真剣な面持ちになるとこう言いました。


「頼もしいわ。カイネがいれば、この星が攻撃される事は無いわね」


そんな妻たちの語り合いに、小さな羽を生やした少女が飛び込んで来ました。


「はぁ……はぁ……」


床に四つん這いになりながら、小さな肩で大きく息をしたマリアは、最後に大きく深呼吸をしてその場に立ち上がりました。


マリアの透けた後頭部からは、機器類のカラフルな点滅の光が漏れ、床を装飾し、それは無機質な彩りでありながら、とても美しいものでした。



「大変な事になったわ!森の奥で爆発があったの!!」


「攻撃されたのか!?」


カイネは誰よりも早く立ち上がると、森の奥へと駆けて行こうとしました。


「待ってカイネ!他国からの攻撃じゃないわ!施設で何かしら事故があったみたいなの!ホワイトが宮殿に結界を張れって」


「結界を?ここは既に汚染レベルは相当なもので、耐性がある者しか居ない。ましてや、宮殿の中は更に元々が安全なはず……」


パキラは戸惑いながら立ち上がると、サロンの窓から森の方角へ目をやりました。


すると、沢山のケンタウロスやその他の様々な生命体が宮殿へ逃げてくるのが見え、そして森の奥から空に向かって突如現れた、オレンジ色の柱を確認する事が出来ました。



「核か………」


パキラが瞬時に理解をすると、その他の妻達も同時に理解をしました。


「私が森の入口に行き、ポイントになろう」


「わかったわカイネ!マリアが宮殿の真上でポイントを作る!」


カイネとマリアは見つめあい頷くと、サロンから出ていきました。


「カイネ!ホワイトは、ホワイトはまだ森の中なのかしら!」


動揺しながらパキラは、すがる様にカイネの背中に向かって叫びました。


「それも見てこよう。パキラとアーシャは避難者の誘導を」


「わかったわ……」


今にも泣き出しそうになりながら、アーシャは羽を背中にしまい込むと、宮殿の入口へパキラと共に向かっていったのでした。





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