第8話~告白~



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その日、ルナはまた森の奥へと訪れていました。

いつもなら訪れると真っ先にシャドの姿を探すのが常でしたが、その日のルナは違いました。



シャドがゆったりと緑の絨毯に寝そべる姿を認めると、木の陰から物音を立てずに現れたルナは、そろりそろりと森の奥へと歩を進めたのでした。



「ルナ!!!」



小川に足をつけたエンディは、満面の笑顔でルナに向かって右手を大きく振り出迎えました。



「待ってたよ!!ホワイトに怒られなかった?」


「えぇ、大丈夫。今日は見つからずに来れたわ」


「じゃあ、今日は沢山お話出来る?」


「えぇ」


「うわぁ!やったぁ!」



エンディは無邪気な笑顔を作ると、倒木で作られたこしかけにルナを誘いました。



それからふたりは時を忘れて、会話を楽しんだのでした。







「どうしよう……楽しすぎて、時間を忘れてしまったみたい……」



ルナは、沢山の時間が流れてしまっている事に気づいた途端、顔をみるみると青ざめさせました。

そして、宮殿の方角へ慌てて視線を向けたのでした。



「宮殿には、戻らないといけないの?」



エンディは面白くない顔をひとつして、少し意地悪な口調でルナに尋ねました。



「勿論よ。ホワイトが待っているもの」


「ふーん……。今からだと、怒られちゃう?」


「そうね、、どうしたらいいかしら………」



ルナは、青ざめた顔のままこしかけから立ち上がると、今度は小刻みに震え始めました。


その姿を見たエンディは、今度は心配そうに「そんなに怖いの?」と尋ねました。



「そうね……」


悲しそうに俯いてしまったルナの姿に、エンディは真正面に座ると、今度はゆっくりと下から覗き込みました。



「じゃあさ、俺の星に来る?」


「俺の……星??」


「うん。もう戻れないならさ、ここにルナの居場所は無いんじゃない?」


突拍子のない提案に、ルナは少し怯みながらも立ち上がると、今度は強気に返事をしました。


「ま、まだ!ホワイトに聞いてみないとわからないわ!」


「そのホワイトが宮殿に入れてくれないと、聞く事も不可能だよ?」


「そんな………」



ルナは呆然とそこに立ちすくむと、再度、森の外の宮殿の方向へと視線を向けました。それと同時に、知らない星の世界を知るエンディの言葉に、好奇心が湧き始めてもいました。



「俺の星はね。この星から、少し離れた所にあるんだ」


そう言って、エンディはルナに手を差し伸べました。ルナは振り返ると、その手に自分の”右手”を乗せて、気づけばまた木のこしかけへと腰をおろしていました。



そして、今まで決して語ろうとしなかったエンディの身の上話に、ルナは興味をそそられずにはいられませんでした。






俺の星の住人はね


ルナと同じ、こんな風に手と足がある


顔立ちも髪も、とても似通っている


でも


ココロが、かなり複雑なんだ


とてもね


例えば【愛】っていう、ココロがある


そしてこれは、伝染させる事も出来る


ホワイトが他国の俺を受け入れてくれたのは


そこにとても、興味を持ってくれたから


ルナ


君の星にはこの概念が無いんだ


だからホワイトはそれを知り


取り入れたいとすら思っているらしい


俺は、あちこちの星を旅していた


理由?


【楽しい】が好きなんだ。ただ、それだけだよ?


だからこの星には【楽しみ】に来た


この星は、とても柔らかな星だからね


あと【改造】にも長けてる


…………って


改造の事は、ルナは知らないんだっけ?


この場所はね


この森の奥は、実験施設なんだ


キメラなんかの生成工場


キメラがわからない?


そうだね、ルナは既に

キメラ達ととても仲良しなんだけど……


そこは知らなくても、いい事なのかもしれない





ホワイトはソウルを作ったりするのが得意で

あの真っ白いお偉方は

そこにとても長けた種族だけれど



器はね、創ることが出来ないんだ





出来ないとね

それをしたくなるのがココロ

求めたくなるのが、ココロ


それは、どの星の種族も同じ

だから、間違えやすい


クローン研究  遺伝子組み換え  兵器量産

とどめは、核爆弾


タブーを起こした結果が

この終わらない、オリオン星間戦争


絶滅していく種族が後を絶たない


ホワイトも、そこに胸を痛めてるらしい

だからルナ、君が生み出されたともいえる



ルナ、俺はね

その状態にとても辟易してるんだ


だからここで、俺はケンタウロスにしてもらった

俊敏な足で、宇宙を駆け巡って

暫くは楽しかったんだよ?


でも、飽きちゃった

だから、元に戻してもらったんだ


勿論、それは簡単な事じゃなかったけどね


そして、とある契約もホワイトと結んだ


そして、ルナに出会った


*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ໒꒱⋆*


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