第6話~誕生~
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エンディとルナは、細く流れる水流の中に裸足の両足を浸からせると、その場に黙って座りました。
エンディの話では、ここはいわゆるケンタウルスを人間に改良する場所で、拒絶反応の有無を観察する場所、それはルナにも理解は出来ました。
ただ、それが何の為にされるのか、何故こんな森の奥にそれがあるのか、そして何よりもホワイトから何も聞かされてなかった事に、ルナの心はざわついていました。
青い鳥がここに行こうと言ったのは、この場所の事を知っていたからに違いなく
それはつまり、パキラはこの場所の事を知っていて、そしてそれは、ホワイトから既に知らされていた事を意味しました。
「第1夫人は、やはり別格なのね……」
静かな水流を見つめながら、ルナは寂し気にそうポツリと呟きました。
その様子を見ていたエンディは、不思議そうにルナの顔を覗きこみました。
「ルナは何で夫人になったの?」
エンディのいきなりの質問に、ルナは少し驚きつつ、次は空中に視線を泳がせました。
「本当ね……どうしてかしら………」
「え!?何??まさかわからないの??」
エンディはそう驚くと、これは可笑しいと言わんばかりにその場でケラケラと笑い始めました。
「そんなに笑わなくっていいじゃない!」
ルナは頬を膨らませて怒りながらと立ち上がると、その場から立ち去ろうとしました。
「ごめん!!待ってよルナ!!」
エンディはルナの左手首を掴み、またその場に座る様に促しました。ルナは少し抵抗したものの、男性の力に敵うわけがなく、しぶしぶまたその場に腰をおろしたのでした。
「ちょうど退屈してたんだ。ルナの話を沢山聞きたいな」
エンディの瞳は好奇心という名の輝きで満ちていて、ルナは吸い込まれそうな感覚に陥りました。
「なんで夫人になったかもわからないの……そんな話を聞いてもきっとつまらないわ」
「尚更聞きたい!そんな話の方がわくわくする!」
無邪気に、とてもはしゃぎながら訴えてくるエンディの姿を見て、ルナは思わず吹き出してしまいました。
「じゃあ………つまらないかもしれないけれど聞いてもらおうかしら……」
ルナはまた水流に裸足の両足を浸からせると、ゆっくりとエンディに向かって、語り始めたのでした。
*
私は森の中で眠っていた樹木と草花の匂いに包まれて、目を覚ました
「ここは……?」
私は、ゆっくり体を起こした
地面につくくらい、長い金色の髪それが私が自分のパーツの最初に目にしたモノだった
私は誰なのだろう私は、何処から来たのだろう
顔をあげるとそこには真っ白の衣に真っ白の髪真っ白の立派な髭を蓄えた存在が立っていた
「お前の名前は、ルナ」
その存在は私にそう呟いた
「ル……ナ………?」
私はその日から、名もない存在からルナという存在になった
「お前は、たった今私が生み出した魂」
その存在は、そう言うと私に手を差しのべてきた
「生み出した?あなたが?」
私は戸惑った
「そう………そしてお前は永遠となる」
「永………遠……?」
私には、この存在の言葉の意味がわからなかった
「お前にしか出来ぬ事がある、さぁ宮殿に行こう」
その存在は、私の手を掴むとその場に立ち上がらせた
一糸纏わぬ姿に、金色の長い髪は衣の様に包み込んだ
「行きたくない!!」
私は気づけばその存在の手を振り払っていた
「ルナ、お前は私の第5夫人となる。拒否は赦されない」
その存在は、再度手を差しのべてきた
「妻にする為に生み出したというの?ひどい……」
私は今にも溢れ落ちそうな大粒の涙を浮かべながら、訴えた
「夫人にするのは護る為。私はお前を永遠に護ると約束をしよう」
「護る………」
私はその言葉に、一瞬で支配をされたきっとその言葉そのものに力が宿っていたからなのかもしれない
「わかったわ…護ってくれると約束してくれるのなら………」
私は、その差しのべられた手に自分の右手を乗せた
「約束しよう」
存在は、今度は両手で私の右手を包み込んだ
すると、一瞬で私の身体をロングのドレスの衣が包み込んだ
「素敵………」
私は、自分の身体を見つめながら呆然と立ち尽くした
「宮殿で、他の夫人達の紹介をしよう」
「わかったわ……でも、その前に聞きたい事があるわ」
「いいだろう」
「私は何処から生まれたの??」
「私の身震いから」
私は、黙り込んだ生まれたばかりとはいえ不思議と色々引き出せる、自分の中の情報という名の引き出しをあけては答えを探し求めた
「信じたくない」
私は、自分の右手を包み込む両手をほどくと腕に自分の腕をからめた
「では、行こう」
その存在が歩きだした私も遅れない様に、腕をしっかり組んで歩幅を合わせた
暫く行くと、目の前に立派な建築物が見えてきた
私はこれから、ここで生活をするのだこの腕を組む存在の第5夫人として
「そうだ、名前を聞いてない。名前は?」
私は、宮殿の前で立ち止まるとその存在に向かって、名を尋ねた
「ホワイト」
ホワイトは、そう呟くとルナに優しく微笑みかけた。
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