第3話~ツートンカラー~




*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ໒꒱⋆*



マリアとルナは、仲良く手を繋ぎながら真っ白な宮殿の中へと入って行きました。



天井の高い広間に出ると、相も変わらずロボット達が、まるでダンスを踊っているかの様に、縦横無尽に、その空間を駆け回っておりました。



すると、ルナの姿に気づいた、顔が四角形、メタルボディのロボット達が、ルナを取り囲む様に沢山近寄ってきました。




『ルナ、アナタイママデナニヲシテイタノ!』


『シンジラレナイ!シンジラレナイ!』




口々にそう発せられる、独特な頭に響く様な声の音に、ルナは表情を曇らせました。



「ごめんなさい……今からホワイトの所へ戻る所だから……」



ルナが絞り出す様な声でそう呟くと、今度はその光景を見ていた、ドレス姿の女性で、足は車輪のロボット達が、その周りを更に取り囲む様に集まり始めました。




「ホワイトノトコロニイクマエニ アレガホシイ」


「ソウヨソウヨ アレヨアレ」



ルナがその言葉に困っていると、マリアがルナの前に立ちはだかる様にして立ち、そして大きくルナを守る様に、両手をひろげました。



「いい加減にしなさいよ!ルナが困ってるじゃない!」


ロボット達は、顔をお互いに見合せると、何を言っているのか、サッパリわからないというかの様に、呆れた事を示すポーズをしてみせました。




「コンナ カラダニナッタノハ ルナノセイ」


「ダカラハヤク アレガホシイ」




ロボット達が異口同音に言うその言葉に、マリアは更に怒り始めました。



「私でも我慢してるのに、何なのあんた達!」


「いいのよマリア、私が悪いんだもの」



「ルナは甘いのよ。いくらルナにロボットに変えられたからって、そんなのこのご時世、仕方ない事じゃない!不老不死になれた事を喜べず、更に改良プログラムを欲するだなんて………こうなったら、生命維持装置の停止を、ホワイトにこの第4夫人のマリア様が頼んじゃうんだから!」



撒くし立てるマリアの言葉に、ルナは少し感極まった表情をすると、マリアの事を背中から強く抱きしめました。



「マリア……いいの……私が油を売ってたんだもの仕方ないわ……」



ルナはそう呟くと、マリアから少し離れ、ロボット達が円形に囲む、その中心に立つと、手と手を合わせ、祈りを捧げ始めました。




すると、ルナの体から白い光が放ち始め、その光は、周囲に光のシャワーとなって注ぎ始めました。




「アアココチヨイ ココチヨイ」


「 コレデマタ モトノスガタニモドッテイケル」



ロボット達は満足気にそれぞれがそう呟くと、蜘蛛の子を散らすように、広間をまた縦横無尽に駆け回り始めました。



「本当にθ星の生き残り達は、現金なんだから……」




マリアは不服そうにそう呟くと、祈り続けるルナに駆け寄っていきました。



「ルナ大丈夫??あんなにエネルギー放出しちゃったら、ルナの身体が壊れてしまうわ」



「有り難うマリア、私なら大丈夫。

それよりも折角だし、ホワイトの所へ行く前にマリアこそ改良プログラムのアップデートをもう少ししていきましょうか」



「でも………」



「私も今のこの放出状態で、続けてそれをした方が負担が少ないの。ね?だからいいでしょう?ホワイトからも、それは進める様に強く言われてる事でもあるし」



「ホワイトが?私の為に?」



マリアは少し嬉しそうに、顔をほころばせると、ルナの目の前に、無邪気にペタリと床に座り込みました。



「じ、じゃあ………お願いしちゃおうかな🎶」



ルナはマリアのそんな姿に、優しく微笑みました。



「人の姿まであと一息ね。元々半分機械化した身体だから拒絶反応もないみたいだし。何か希望はある?もしあるなら、そこからパーツチェンジしてみるけれど」



ルナがそう優しく尋ねると、マリアはおずおずと

か細い声で、「髪が欲しい………ルナみたいな長い髪が……」そう、ポツリと呟きました。



マリアのあどけない少女の顔を、スケルトンの後頭部から漏れる、機械類のカラフルな点滅の光が、柔らかく覆いました。




「わかったわ、そのプログラムを今から注入してみるわね」


ルナが目を閉じて強く集中をし始めると、マリアが慌ててそれを遮りました。



「ルナ待って!!!」



「どうしたの、マリア。ロングで金髪の髪型じゃない方がいいの?」



「うん……少し変えて欲しいかも。ホワイトにルナの真似したとか、思われたら嫌だもん」



「ホワイトはそんな事を思う人じゃないでしょう?」



「そうだけど……一目でマリアだ!って、そう分かる様な髪型にしてほしいの」



「わかったわ、それでどんな髪型、髪色がいいの?」


ルナが首を傾げる様に、目の前に座り込んだマリアを優しく見つめ、そう尋ねました。



するとマリアは、ルナの長い金髪のウェーブのかかった髪を、右手ですくうように触れると


「ルナの髪型と同じで……ただ、毛先だけ茶色がいいな」



そう、言いました。



「ツートンカラー?」


「うん、そうしたいの………」


「わかった、やってみるわね」



ルナは目を閉じると、強く集中を始めました。


身体から放たれ始めた光が、マリアの頭に渦を巻く様に巻き付き始めると、スケルトンだった後頭部からは、豊かな金色と毛先は茶色を施した毛髪が流れる様に現れ、マリアの肩にかかり始めました。




「凄い……」


マリアはいきなり現れたツートンカラーの自分の毛髪を、慈しむ様に両手で触れて、その肌触りを確かめたのでした。




*⋆꒰ঌ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ໒꒱⋆*


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る