第六章~双子の妹
妹のまどかとは二卵性の双子で、あたし達が姉妹に見られる事は殆どない。名前も「錦」と「まどか」で何の共通点もないので、尚更姉妹には見られない。
見た目に関しても、まどかはスタイルも良くお洒落で、小柄でズボラなあたしとは姉妹どころか友達としても不釣り合いだった。
更にまどかは料理や裁縫が得意で、中学・高校と部活は手芸部だった。今回の祖母宅の片付けにおいてまどかが留守番組に選ばれたのは、料理ができるからだった。
あたしはその頃から面倒くさがりで、団体に所属して決まった時間に活動をする事に微塵も魅力を見いだせなかったので当たり前の様に帰宅部を通した。
唯一、ちょっとだけあたしの方が賢かったので、まどかとは高校は別だった。女子高のまどかよりは共学のあたしの方が先に彼氏を作れると思っていたのだけれど、その分野でもあたしはまどかに先を越されてしまった。そして、まどかは四年間ずっとその時の彼氏と付き合っている。
因みに、あたしは今まで一度も誰とも付き合った事がない・・・好きな人は時々いたけれど、片想いで終わってしまい、今に至っている。
その後、まどかは料理関係の専門学校へ、あたしは文系の短大に就職した。
そして、半年後にはお互い卒業である。
卒業後、まどかは県内にある有名ホテルのパティシエとして就職が内定しているが、あたしは未だ働きたいと思う場所に出会えず、みつけられず・・・という状態でプラブラしている始末である。そんな感じだから、バイト先の書店の店長からは「このままうちに準社員として就職して欲しい」と懇願されている。
まぁ、本は好きだし、それも悪くはないかな?・・・と暢気に過ごしている。
まどかに言わせると、「それが、錦」だそうだ。
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