「スープカレー」におそわれた!
「今日はスープカレーよ!」
と言われたので、直ちに手に持っていたゲームを弟に投げつけてテーブルに座った。
弟は泣いてしまったが、まあいいだろう。今日はスープカレーなのだから。
「いただきます!」
ママがつくるスープカレー。おいしい!
しかし、非常にあやしかった。
スープカレーからもくもくと煙が上がってきた。
曇になって、スープカレーが降ってきた。
あら、おいしい。今日はスプーンで食べずに、口を開けばスルスルとスープカレーが入ってくるのだ。こんなにお得なことはない。目にスープカレーがしみるが、非常に薬草感があっていい。
喜んでいると、ジャガイモとか人参が降ってきた。いや、降ってきたというより殴りかかってきていると言ってもいいだろう。ついにはスープカレーは滝のように降ってきて、家中が洪水になってきた。
「あらいけない、拭かなきゃ」
ママはそう言って台拭きを持ってきた。
「ママ、そんなんじゃ無理だよ。もう玄関まで流れてきてる」
リビングは扉を閉めていたが、それは無意味だった。
ママは台拭きを、くるぶしあたりにまで来ているスープカレーの海にひたすと、たちまちスープカレーは台拭きにしみこんでいった。
ああ、ようやくおわった、と安堵した。
しかし、ママは急に光だした。突然に「わたしは今から神に拉致られる!」と叫び始めた。
「ああ、わたしはラッキーなのよ!神に選ばれし人間なのよ!ああ、ついにこのときを待っていたわ…!!」
ママああああああああっっっっっ!!
ついにママが壊れた。スープカレーを吸わすのではなかった。
ふと横を見ると、弟はサイコロになって叫んでいた。
「役満!役満!マンツーマン!役満!役満!マンツーマン!」
「やめろおおおおっっっ!!まだ『ペンギンソルジャー』をクリアしてないんだああああっっっっっ!!」
ハンマーでぼくのゲームをガンガン叩く弟に向かって叫んだ。
しかし無駄だった。
ぼくはスープカレーの海に沈んでしまった。
どこからかおじいさんの声が聞こえてきた。
「キミがほしいのは金の斧かな?それとも銀の斧かな?」
「おじさん!!銀の斧をください銀の斧を!わたしはマッサージチェアを買わなければいけないんです!!」
「はいキミ嘘つき♡あーんして、あーん♡」
くそっ、罠にハマってしまったようだ。
仕方ない、負けだ。ぼくは「あーん」をした
「はい、100年分のクッキー、今おくちに押し込みましたぁ♡」
ぼくはこいのぼりになった。
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