「「コットン100%」」におそわれた!

 私は服のタグを見ていた。

「コットン100%」か。

 すると、みるみるうちに「コットン100%」の文字が頭の中を侵食し始めた。

 うわあ!なにするんだ!やめろ、やめてくれ!!

 息が苦しい。まるで水中3メートル下に沈められているみたいだ。非常に苦しい。

 脳のまわりに「コットン100%」がまとわりついている

「コットン、コットン、コットン、コットン、コットン、コットン、コットン、コットン…」

 ああ、うるさいうるさいうるさい…!!

「コットン100%」が私の脳の中をえぐっている。

 すべてが「コットン100%」に置き換わっていく。

「コットン100%」が溶けて固まって脳の形になって、情報がすべて「コットン100%」になっていく。

 ついに脳の中枢部をやられたようだ。

 私は呼吸困難になった。

 どうやら救急車に乗ったようだ。

 乗ったようだ?

 気がつけば「コットン100%」に乗っていた。

 ああ、「コットン100%」な世界なのか。

 あたり一面すべてが「コットン100%」であった。

 ふと私は自分の体を見た。

 やはり「コットン100%」であった。

 私は気づけば「コットン100%」に縫い付けられていた。


「コットン100%」は私を溺死させる。なんどもなんども。

「コットン100%」は平手打ちを繰り返す。ペシーンペシーンペシーンペシーン。

 私は再起動を繰り返す。

「コットン100%」は「また会いましょ」と言ってくる。

 私は「コットン100%」の足を持ち上げた。

 かるかった。

 きみはこんなにも痩せていたんだね。

 右手グーパンチで「コットン100%」を破った。ビリビリに、再復活できないように破いた。


 ひとまず「コットン100%」打ち勝った記念日としてカラオケしに行った。

 店員が「コットン100%」だった。カラオケに入ってる曲すべて「コットン100%」だった。ドリンクバーも「コットン100%」しかなかった。歌うためのマイクももちろん「コットン100%」であった。

 ああ、そういう運命なんだな。私は悟った。

 私は再び「コットン100%」として生きることにした。

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