「カニクリームコロッケ」におそわれた!

今日の夕食はぼくのママが買ってきてくれたカニクリームコロッケだ。

スーパー『マルパク』に売ってるカニクリームコロッケ、おいしいんだぁー。

さっそく食卓の皿に乗ったカニクリームコロッケをひとくち食べてみる。

サクッ。

ああ、ふかふかの白いクリーム。最高である。

すると、みるみるうちにカニクリームコロッケが大きくなってきた

「え、え…?」

「どうしたタツキ?顔が青いわよ」

ママにはわからないらしい。

そうこうしているうちに、カニクリームコロッケに飲み込まれた。

カニクリームコロッケの中はあたたかく、くちにいれたときのようにやわらかな感覚だった。

あわあわの風呂にうかんでいるみたいであった。

ああ、気持ちがいい。

ブペッ。

ぼくはカニクリームコロッケに吐き出された。

「あんたなんてキライ!」

ぼくは不愉快になった。

「なんあんだよ!ぼくを急におそっといて!」

ぼくはカニクリームコロッケをハンマーでめちゃくちゃになぐりつけた。

「いたい、いたいやめて、いたいよタクミ…」

え?

カニクリームコロッケはじつは、ぼくのクラスの学級委員長かつ超カワイイえりちゃんだったのだ!

「じつは、タクミのことが好きだったの…」

「じゃあなんでカニクリームコロッケに化けて出てきたんだよ!ていうか商品に並べられていたんじゃぼくとは違う人にとられちゃうだろ!?」

「恥ずかしいからよ、タクミと面向かって「好き」って言うのが。あと私はいまさっきカニクリームコロッケに乗り移ったのよ、最初からカニクリームコロッケで居たわけじゃない」

「サチコおおおおっっ!好きだーーーーーーーーっっっ!!」

「あたしサチコちゃんじゃないわ!えりちゃんよえりちゃん!」

「うるせぇ!でもぼくはえりちゃんよりもサチコのほうが好きなんだ!だから消えろ!」

ぼくは手を止めずにカニクリームコロッケをガンガンとハンマーで殴りつけることを続行した

「やめててええええっっっっ!!」

「ああっっ!!そういえば、昨日のテストの二問目の答え「薩長同盟」じゃん!!」

「ええっっ!?あたしそこ「ピンポンダッシュ」って書いちゃったじゃん…」

そう言い残してえりちゃんは消えた。あとにはカニクリームコロッケの残骸だけがのこっていた。あたり一面クリームが飛び散っていた。

ママはキッチンで残りのカニクリームコロッケを揚げていた。


翌朝、委員長であるえりちゃんの胸像が校門前に立っていた。

ぼくは昨日のカニクリームコロッケの残骸を石膏像の頭の上になすりつけて線香花火をあげた。

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