第472話 子どもの健診
もううちの子も20代だから、あの保健師さんも退職してるだろう。
だから、もう時効として書く。
子どもが健やかに育っていく為に、市から案内を貰って都度都度健診に出かけた。
母子手帳も持っていく。
今なら、母親の代わりに父親が子どもを連れていくこともあるんじゃないかな。
共働き世帯も多いからね。
医師に診察してもらって、体のチェックを受けるのと、保健師に情緒面のチェックを受けるというのが、子どもの健診。
これが、保健師さんにハズレがいるの。
今ならSNSですぐばっちばちに晒されて、苦情のメールが殺到してもおかしくないレベルのハズレの人がね。
数人の保健師さんがいて、ランダムに親子が振り分けられるのだけれど、ある保健師さんに当たると、みんな涙目になって帰ることになる。
何を食べさせているか。どういうスケジュールで生活しているか。
聞き取りは必要だからちゃんと言うのだけれど、まあ、口調が無駄にキツイ。
そこでふんわり系の優し気なママさんの瞳は赤くなる。
発達のチェックで、フラッシュカードのように絵を見せて、「これは何?」と答えさせるのだが、そんなスピード感は必要としていないはずだ。
もじもじするお子さんなら、じっと見て答えるまでに時間がかかる。
そこを無視して、答えないとか答えるのが遅れると鬼の首を取ったかのように、「これは発達が遅れているかもしれませんね」と言い出す。
いやいや。待っている間にその子が遊んでいる様子をちらっと見たけれど、あなたの出すオーラにおされて言葉が出ないだけで、普通の発達状況の子だよと。
何かな。発達が遅れている子を見つけると、何かボーナスでももらえるのかな?と思う位、決めつけが強くて見ていてウンザリ。
私たち親子もその保健師に当たったことがある。
うちは子どもがパパママといわず「おとしゃん(お父さん)」「おかしゃん(お母さん)」と言っていて、よく車に乗るから、幼児語のブーブーと車のことは言わず「くるま」と言っていたのが気にくわなかったらしい。
「あなたみたいに、幼児語を使わせない親は虐待なのよ!」とちょっと叫ばれた。
いやいやいやいや。こんなところで大声出される方が、名誉棄損ではなかろうか。
「ものがわかって、呼べてるんならそれでいいんじゃないですかー?」とあえて不貞腐れて言ってやった。
「全然問題ないですよね。本人が呼びたいように呼んでるのを虐待というのは、ねえ?」
街だったら、この人早々に表に出さないようにすると思うが、田舎だからかこの後も普通に仕事してたからすごいよね。
なんどかこの人に当たったが、向こうも顔を覚えてるらしく、それ以降は無茶苦茶なことは言われなかった。
他の人には相変わらず態度が大きかったけれどね。
そういう人でも公的な仕事が続けられるのが田舎なんだなと思った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます