第446話 孫の手

恥ずかしながら、新型コロナに罹ってから皮膚感覚がどうもおかしくて、湿疹や蕁麻疹的なものができたり、何もなくても痛かったり痒かったりする状態になっている。


首と背中が一番酷くて、一日中背中はグリッドフォームローラーを使って掻いている。

意識高い系のストレッチ用のそれなのだが、今は私にとっては孫の手。


下着が擦れて当たるあたりが一番痒みが酷く、お風呂上りに鏡で確かめたが何もなし。

でも、狂ったように痒いのだ。


「いっそのこと100均で孫の手を買ってきたら?」と夫は言うが、うっかり買ってきたら、血が出るまで掻きそうだ。

それくらい痒い。

今はそこまで鋭く掻けないから背中の皮膚が無事なだけ。


そもそも100均は、ショッピングセンター内にセリアがあるだけ。

それも規模が小さいから、欲しいなと思う物がいつでも買えるわけでもないのだ。


テレビ番組で「今こんなものが100均にあって話題。便利ですよ。」なんてやっても、売り切れではなく置いていないということばかり。

規模が小さいから、そういう話題のものが置けないのだと思う。


吉本新喜劇の寛平ちゃんのように「かいーの」と言いながら、ローラーで背中をがりがり掻く。


夫的には、孫の手で静かに背中を掻く妻の方が平和なのか。

今のようにローラーで誤魔化している方がいいのか。


コロナが完治したら、この痒みとはサヨウナラだと信じているので、変な100均商品を我が家に増やしたくないという気持ちと戦っている。

咳しながら買い物も行きたくはないし。


洋裁用の竹の定規、あれ長かったなあと考えている自分も嫌だ。

50センチあるから背中が掻ける。

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