第447話 父の誕生日
毎年電話だけはしているのだが、コロナが完治していないせいで、咳で喋りづらい。
父の兄が入院先の病院で同室の人からコロナをうつされて亡くなったこともあり、私が罹ったということは、言っていいものかどうなんだろうと思っていたが、明らかに声がおかしいから言う必要があり、「病院へ行け」と言われてしまう。
数年前から後期高齢者。
持病もあるし、母は頭おかしいし、妹はひきこもり。
楽しみは、うちの子たちの活躍らしい。
元気に学生生活を楽しんでいるよと伝えた。
近くに住んでいればサポートをしなくてはならないとは思うが、母と私は合わないし、サポートすればするだけ求められるのは見えているから、この距離を利用して様子を見るだけとしている。
田舎だと、未婚の兄弟姉妹がいたら、そのまま実家暮らしで長男夫婦におんぶにだっこらしい。
実際、そういう話も聞いている。
私には母も妹も背負えない。
そういうつもりで夫と結婚したつもりもないし。
父が欲しい言葉は、母も妹も自分がいなくなっても長女の私がなんとかするよという言葉だと感じる。
わがままで、やってもらうことばかり言ってくる人間はさすがにイヤだよ。
自分だけが不幸だ不幸だといわれるのもさ。
私は愚痴のゴミ捨て場ではないし、一方的に世話をするロボットでもない。
小さい頃に「お姉ちゃんだから、あれもこれもやるべき」と言われたことが呪いのように纏わりつくが、もうすっかり解けてしまってるからなあ。
ちょっとだけ先に生まれただけで一生の責任は私にはない。
そこをみんな都合よく知らんふりするのはどうなんだろう。
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