第276話 オカルト

学生時代に友人たちと心霊スポットに行こうという話になり、私は怖くてパスしようとしたが無理やり車に乗せられてしまった。


嫌だなと思っていたら、その心霊スポットに辿り着かなかった。

道を間違えてはいなかったらしい。

ずっとなぜか同じ場所をぐるぐる回っていて、かなり時間が経ってしまったので、諦めて帰ってくることになった。


よくある話だろうが、「来るな」ということだということだと納得した。


そんな感じで、行こうと思うお店に着かないということが度々ある。

急に別の予定が入るとか、道に迷うとか。

そういう時は「今日は行くなってことだな」と思っておく。


そして行けるようになったら、そういうお店がなくなっていたり。

「行かなくてもいいお店だよ」と何かが知らせてくれたのかなと。


長いこと行きたくて行けていないお店がある。

パフェが有名なお店で、そのお店の前の道は用事でよく通る。

迷うなんてことはないのだが、一人で入るのが躊躇われるために20年以上入れていない。

ここまで機会がなかったのだから、もうあちらから呼ばれていないということで、行きたくても諦めた方がいいのかもしれないなと最近は思うようになった。

もうそんなに大きなパフェを食べられる年代でもなくなってきたし。

食べられてもお腹を壊すようになったからなあ。


お寺や神社でも、呼ばれているような気がしたら行きなさいという話があるが、お店も呼ばれていなかったら急襲してはいけない気がしてきたのだ。


子どもには「一人でバイクで行けばいいんじゃないか」とは言われた。


そうなんだ。そうなんだけれど、私の中の何かが「そこでパフェを一人で食べたら、お腹壊して大変になりますよ」と警告している気がするのだ。


子どもたちが望んだら便乗して食べよう。

そうじゃなかったら、縁がなかったと思おう。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る