第270話 暴走族?
夏になると田舎でも暴走するバイクは出てくる。
近所でバイクに乗っている人間はいないから、わざわざどこかからやってくるのだ。
そうはいっても、絶対に警察官のいる場所を通らないと入ってこれない道路で、夜なんかは何よりも獣が怖いのに。
大型の動物だと自動車相手でも負けるのに、体がむき出しのバイクで暴走するなんて無謀過ぎるよ。
一応うちの夫婦が疑われないように、パトロールで警察の方と会った時に弁明はしておいた。
違法改造はしていないし、いい歳で夜間は目がきかないので極力夜間は走らない。
暴走するほど若くもない。
ちょっと笑われた。
真っ暗闇の田舎の道を暴走するなんて、どんな動物が出てくるかわからないし、道もよく見えないから危険しかない。田舎道ってわりとびっくりするような落とし物もある。
所々うっすら明るいが、そこはお地蔵様の祠だったり。
それはそれで日中だったらほっこりするが、夜は。
爆音で走って行くから、獣は避けるのかな。
それでもバイクに乗っていて熊や猪に遭ったら、相当こちらの命が危険だ。
普通の技術では即座にUターンなんかできないからなあ。
街で暴走しているバイクは、埠頭なんかで暴走していたようなのだが、田舎にはそういった場所がないから迷走しているのかもしれない。
どこを夜走っても、「ああ迷惑だなあ。うるさいなあ」としか思われないのに。
数台で行き止まりまで走って行って、しばらくしたらそこを折り返してくる。
あんな違法マフラーつけたバイクだったらエンジンつけた瞬間からうるさくて、田舎でも話題の迷惑な人になっているだろうし、特定されるのも簡単なのになあ。
車でも違法マフラーつけているような人は、ほぼご近所みんなわかっていて迷惑している。
うるさいのはどこでも変わらないのだ。
ただ、田舎だとバイクでも自動車でもすぐばれるってだけ。
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