第258話 田舎から脱出

我が子は二人ともここよりも街へ住んでいる。


そのうちの一人が就活を終了させて、どうも来春から東京暮らしになるようだ。

会社に寮も完備されているから、慌ててアパートを探さなくてもいいのは助かる。


ただ、これまで緑豊かな場所で育って、大学も大学院ものどかな場所で、急に空が狭い街に住むのに、早く慣れるのだろうかと心配。

心配しても本人が決めたことで、親は見守るだけなのだけれど。


田舎すぎるのか結構な割合で、大学進学や就職で田舎を出ていった子どもたちがUターンしてくる話を聞く。

街に住んでいても、地元に帰ってくる友達はいたが、それより多いかな。

起業するために戻ってきたとかではなくて、心を病んでというケースが多い。

今の世の中、ブラックな会社も多いし、若い人が見切りをつけて帰ってくるのも理解できる。

そういうことなのだろうか。


家に戻ってきても、周囲がどうしているのか訊きたがるからか、そういう子たちはあまり外出しない。

なので、私も外で見かけたりしなかったのだけれど、事情通な人から聞いてびっくりした。

わりとあちこちにいた。


環境が劇的に変化して、それについていけなかったのかな。

私たち夫婦は大学は県庁所在地なくせに田舎だったから、さらに田舎に住んでもそれほど抵抗はなかったが、逆に大きな街に出ていたら…いや、元々そこそこ街育ちだから対応はできたと思うが。


のんびり暮らしたいのだろうね。わかるよ。


うちののんびりな子はどうかな。たまに帰省してきて、散歩してるなあ。

少しずつ街に慣れていけるといいね。

最悪今は転職も普通になっているから、そういうことも心にとめておいて。




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