第140話 ツーリング
いい景色の中を走りたいと、街からこの田舎を目指してやってくるライダーは多い。
峠道も海沿いの道も走っていて気持ちがいいからよくわかる。
晴れた日曜は特にライダーが多くて、対向車線のバイクとすれ違うときには挨拶として、さっと手を挙げたり手を振ったりすることがある。
タンデムしているライダーは、二人で手を振ってくれたりして、こっちも手を振り返してニッコリ。ヘルメットを被っているから、こちらの表情はわからないけれど。
夫婦二人で近場をプチツーリングしてみて気になることがある。
夫のバイクの方がなぜか注目度が高いのだ。
対向車線のライダーがまず目を向けるのが夫のバイクで、夫に手を降る。
私は自然に溶け込んでいるのか、前を走っている時にも気が付かれなかったりする。
「音なの?色なの?」
音は私のバイクは二気筒で独特のサウンドで、夫のバイクは四気筒で高い音がする。
遠くまで聞こえるのは夫のバイクだ。私のバイクは信号なんかで停車していないとあまりよく音は聞こえない。
色はどちらも派手だとは思うが、夫のバイクの方がメーカーのイメージカラーだからか目立つ。
「さあ、どうなんだろうねえ」
夫婦でバイクを交換して走って帰ってきてみたら、やっぱり夫のバイクを見てくる人の方が多かった。
子どもも一緒にツーリングに行っても、夫のバイクが一番振り向く人が多くて、なんだか悔しくもある。
追いかけられるのは嫌だが、手を降ってもらうと嬉しい。
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