第139話 あなたは誰ですか?
これも田舎あるあるかな。
自分は相手のことを知らないのに、相手は自分のことを知っている。
妙に馴れ馴れしく話しかけてくるけれど、どこの誰なのかわからない。
本当に親切な人で、自己紹介を忘れているだけということも稀にあるが、ほとんどの場合はこんな感じ。
マウントをとりたい地元のボス。
宗教を押し付ける人。
マルチ商法の人。
これまで仲間外れにされていて、新規参入の人間を仲間にしようとしている人。
街でもだいたいはそうなんだけれど、相手は自分の情報はほとんど持っていないから、街の方が躱すのはラク。
田舎ではある程度の情報を持っているからこそ、断る際に忍耐やテクニックを必要とする。
街だとしらっとすっとぼけ続けていると、相手も面倒になってきてターゲットを変えてくれるが、田舎では次のターゲットが出てこない為にしつこい。
宗教は実家が神道とか言っておけば諦めてくれるし、マルチは決まったものしか買わないし、夫がお金を管理してるから無理と言えばいい。
ボスは、街出身の子分を作りたいがためにしつこめ。
でも、親切にしてくれるわけでもなく、ずっと上から偉そうに語ってくる時点でついていくわけないじゃないか。アホ。
仲間外れさんは、しばらく話を聞いていると、変だなと思う点がごろごろと出てくるので、そのわかった時点で「忙しいんで、それでは」と話を中断し続けてフェードアウトにもっていく。
序盤でバンと切れば楽ではあるが、逆恨みされるのも面倒だから、ある程度は話を聞いてやるのが吉。
聞いた上で条件が合わなかったのだなとか、性格が合わなかったのかなと思ってもらえたらOK。
田舎でもいい人は、ちゃんと距離感を正しく保ってくれて、最初に自分がどこの誰なのか名乗ってくれる。
名乗らない人は用心した方がいい。
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