第136話 男尊女卑

街でも残っているが、田舎はどうだろうか。


私が高校生の頃、兄さんが浪人して私大に行くから下の妹には学費が回せないということで、進学を諦めろとか変更しろと言われる女友達が何人かいたが、今は田舎でもそんなことは言わない。

女子であっても奨学金を貰って進学させていることが多い。

一人暮らしさせて専門学校や大学へ通っている。


それでも小学校や中学校に在籍している間は、学年で成績がトップとなるのは男子であるべきだという思想があるようだった。

これは私の子どもの頃にもなかったころなので、心底驚いた。


確率的に男女が同数程度いるのであれば、トップになる人間の性別は男女50%になると思うのだが、歳をとっている人ほど頑なに「男子でなければいけないのだ」と言っていた。

優れているのは男性であるべきで、女性はとるに足らないと言いたかったのか。


高校受験を控える時期になって、外部のテストを受験して文句のつけようもなくすべての人間に点数がつけられても、「男子がトップ」と言い張る勢力があった。

クラス懇談会で最高点を担任が発表して、その点数をとった人間が男子の中に確認されていないのにも関わらず、「男子がトップ」だと言うのはどういう考えなのか。

というか、プライバシーもどう考えているのか。


頭がおかしいとその勢力に対して思ったので、なるべく近づかないようにした。

仲間だと思われたくない、同じ考えも持っていないから。


「ねえ、わかった?男子がやっぱりこの学年でも一番なのよ。」


わざわざなんでなのか、私に近づいてきっぱり言ってきた人間がいた。

私は一番は女子であることを知っているが、それが誰なのかも言わないし、誰ともそういうことを話題にしてはいない。

くだらな過ぎて、どうでもいいからだ。

他人の子の成績も気にならないし、どこを受けようが受かろうが落ちようが関係ない。自分の成績ならともかく、子どもの成績を外で言うのはどうなんだろう。


言ってきた人のお子さんは男子だが、絶対に一位や二位を取れない子で、その母親が何がしたかったのやら今でもわからない。


「受験勉強は大変ですよね。それでは。」


違うことを「そうですよね」と言うのも嫌だったし、違うと言って誰が一番なのか言うのもおかしな話だと思っていたから、すっとぼけてみた。


そっちの勢力の人たちのお子さんの女子は、みんなあまり勉強が得意ではなく、愛嬌もお世辞によいわけでもなく、なんだかお母さんのコピーみたいないびつな子が多じかったなあ。

その後受験で親子で大騒ぎしていたなあ。


自分のことでもないことで、何がしたかったのかなあと。

お子さんのことだけを考えていた方が良かったのにねと今でも思う。

なにか憑りつかれていたのかな。

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