第133話 お米

お米の消費量が食べ盛りの人たちのせいで大変なことになっていた頃、夫は職場で古米の玄米を買ってきたりしてくれていた。

うちの前が田んぼなので、その田んぼのお米も買ったことがある。

ただどちらもコイン精米機まで車で運んでいって、精米してこないとならないからズボラな私には辛かった。重いし。


いつものようにスーパーや生協で購入したお米には石は入っていないのだが、精米機を通したお米は、かなりの率で石が入ってくるのがどうも私には受け入れられなかった。

米を研ぐ前に選別しないと、炊きあがったお米を食べるとじゃりっとしてガッカリした。

精米したてのお米を炊くと美味しいよと聞いてはいたが、美味しい以前の問題だった。


古米は水分が少なくなっているのと、ちょっと旨味が減っているのかなという感じで、味の濃いおかずと流し込んで食べている人たちは誰も文句は言わなかったが、家の前の田んぼのお米は、どうもあちらの保存場所が悪かったのか、機械油のようなにおいが沁みついていて、炊き込みご飯にするなどしないと気になってしまう味になっていた。


頂いたお米ではなく、きちんと正規の料金を出して購入したお米だったので、もう次からは買わないと決めた。


一度買ってしまうと、「美味しかったでしょ?また買うよね?」と言われるのでこれも辛い。

美味しくなかったとはさすがに言えない。

そのお米が安全なのはわかる。

田んぼにたくさんの鳥がやってきているし、カエルもいっぱいいる。

意識高い系の人たちには良さそうな環境だもの。


記録的な冷夏になって、米の生産が落ちて、海外からお米を緊急的に輸入した年に、泣く泣くタイ米を買ったのだが、逆にそっちの方が美味しかった。

変なニオイはしなくて石も入っていない精米した状態のもので、ピラフを作るとびっくりするくらい本格的で美味しくなった。チャーハンもパラパラになって美味しかったと思う。


今あんなことになっても、多分だけれどみんなそのお米の美味しい食べ方を知っているから、そんなに文句を言うことはないんじゃないかな。

ビリヤニとか作ってみたい。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る