第117話 運動会

学校の運動会とは別に、地域での運動会というものが存在する。

地区別で選手を出して競い合う。

ある程度人間がいないと成り立たないイベントである。


その昔、うちの子どもたちが本当に小さい頃、別の地区の運動会の役員の方が訪ねてきて、うちの子どちらかに競技に出てほしいというお願いをされた。


うちの子は活発な方ではあるが、それよりも急に知らない方がやってきて驚く私。

その役員さんの地区も同じように人数が少ないので、助け合って人員確保しましょうということだったようだ。

その競技に出場する年齢にはうちの子は満たないが、特例としてOKが出てるのでということで、その時に調子が良さそうな方の子を出そうということになった。


残念ながらその年は災害があって、かなりのイベントが延期になった。

その年に子どもが参加することはなくなった。


そんな感じで、運動会など体を動かすイベントが過疎地にしては多く、かといって出場選手をどこの地区もが確保できるほどの人はおらず、役員になった人は調整で大変である。


夫もあれやこれや若い頃には選手として出場した。

私も申し訳程度に。


出場選手の一覧には、地区名と名前と年齢がばっちり書かれていた。

私は年齢が合っていたが、夫は若く書いてあった。


どうなってるんだよー、これー、と言いつつも、実年齢を自分で言うのもおかしいし、そのままになっている。


駐在さんの巡回で、うちの家族構成や生年月日や緊急連絡先なんかは隔年くらいで確認されているから、もしかしたら、そっち方面で訂正が入るかもしれない。

しかし年齢がこんなにも一方的に筒抜けなんだなあとやや驚いた。


我が子が小学校に入って早々の参観日に

「うちのお母さん、こう見えて〇〇歳なんだよ~」とでっかい声で言いまわってくれたので、私の年齢だけが正確なのは、そういうことかもしれない。


田舎では親戚だったり、同じ学校の先輩後輩だったりする人が多いから、年齢はみんな分かりあっていて、バレているのも平気というか当たり前なんだろう。

でも、こちらは知らなかったりするのに、あちらが知ってるのはどうなのかなあと思ったりする。

なんとなく地元の人たちの会話の中から上下関係を読み取って、年齢差を判断していくのも探偵みたいだ。

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