第112話 右と左
日本語で右と左と言われて、わざわざお箸を持つ手とお茶碗を持つ手と言われなくてもわかるが、LとRは未だに一瞬迷う。
40過ぎたあたりから視力がみるみる落ちてきて、老眼も入ってきたら、暗い所で物がはっきりしなくなってきた。見えていてもぴんぼけ。
夕暮れ時に室内の電気をつけずに、洗濯物を畳んで箪笥に片づける。
靴下を履こうと箪笥から畳んだものを出してくると、組み合わせがおかしい。
私の靴下は暗い色合いのものが多くて、三足で1000円というものを買ってくるので、どうしてもわかりづらい。
黒と紺なんかが時々逆で組み合わさってしまう。
明るい場所で見ればわかるのだが、ぼーっとしているとわからない。
私がぼーっとしている時間が長いのが悪いのだろう。
なので、たまに全く気が付かずに、右と左とデザインが同じだが色が違う靴下を履いていることがある。
オバサンの足元を凝視する人はいないので、特に問題はないだろう。
逆にこれが拘りのオシャレってことにならないかなと考えてみたりもする。
面倒でそのまま右左違う靴下を履いて出かけてしまうこともある。
田舎だからいいんだよ、と自分に言い訳する。
三足で1000円靴下の恐ろしいところは、全く同じ色とデザインのものが三足で足の外側部分に刺繍や飾りがついているものであると、右右・左左というような組み合わせで私が片づけてしまうことだ。
靴下を履くときに気が付けばいいのだが、朝いちばんで寝ぼけているとか、体調が悪くて頭が働いていない時に、右右・左左に気づかずに履いてしまう。
そもそも洗濯したものを畳むときに間違えなければ済む話であるのだが、どうにもこうにもそういうミスをしてしまう。
私が最近履いているスニーカー。夕方に履くと、どうも右と左を間違えて履いているのかと感じる程に違和感がある。
フィットし過ぎていて「左右を逆に履いている?」と足元を確認すると合っている。
夕方で一番足が大きい時間帯だからなのか。
試しに本当に逆に履いてみると、それも違和感があって、どうしていいのか悩んで、クロックスに履き替えたりしている。
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