第113話 温度
古い物件に住んでいるので、冬の朝は室内も相当に厳しい。
部屋の中で氷がはるということはないが、台所で調理用のオリーブオイルが白濁して固まり、私の化粧台ではホホバオイルが固まっている。
ホホバオイルは慌てて暖かい部屋に移動させた。
光熱費が高くなっているこの冬は、できるだけ暖房を控えていて、家の中でヒートショックになりそうな状態。暖かい部屋からそれ以外へ出ると皮膚や胸がキュッとする。
トイレも凍えそう。
エアコンをかけっぱなしにしていてこたつがある部屋でできるだけ過ごすようにし、仕事をするPC部屋は最低限エアコンをかけて、仕事が終わり次第オフにしている。
足元にデスクヒーターをつけると、かなり暖かくて快適にはなる。
受験生だった子ども用に夫が買ったものだが、私が譲り受けた。
私が使っていた電気ひざかけは、もう一人の子どもに譲った。
研究室で使うそうだ。風邪をひかないといいな。
東北の大震災以降、どこもこれまでのように電気をじゃぶじゃぶ使うことがなくなって、大型店舗のエアコンの設定温度も快適とはいいがたいものになった。
夏は外から店舗に入ったらすっと汗がひいたものだが、ただただ不快な温度で逆に従業員が倒れないかと心配する所もあるし、冬もコートを着ていても寒くて、外よりはなんとかマシくらいな所も増えてきた。
店内の照明もやや暗いし、環境には優しいかもしれないが、お客さんには優しくないなあと、そこで買い物することが減っていく。
実際のところそういう理由で、私には夏や冬には入らないお店がある。
どうしても行かねばならぬ時は、気合を入れる。苦行である。
スーパーは冷蔵や冷凍の食品も多く、しっかり冷やしているけれど、店内が不快な温度ということもないから、店舗の考えがエアコン設定温度に繋がっているんだろうね。
ヘアサロンもエアコンを極力使わないからということを一つの理由にかえてしまった私だから、温度にうるさい方なのかもしれない。
温度というより、お客さんに対する姿勢に納得がいかないという方が正しいかな。
昔ながらの商店街の中の小さなお店でも、暖房費節約でかレジ付近のみストーブで暖かく、それ以外が極寒の世界ということがよくあって、
(こんな感じだったら、普通にエアコンで全体が暖かいお店に行くよなあ)と思うことがある。
常連さん以外には説明や態度が雑だったりする「温度差」も気になる。
親切で品ぞろえもしっかりしているお店もあるのは知っているが、常連以外のお客さんを大事にしないお店もあるから、大型店舗に負けるのも仕方ないかなと思う田舎民の私。
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