第109話 ヘビィメタル
爽やかで軽いJ-POP好きだった私が、ある時を境にメタルにはまってしまった。
高校~大学時代は、インディーズ寄りのロックバンドに夢中だったから、素養はあったのかもしれない。聖飢魔Ⅱも嫌いではなかったし。
夫が職場で、最近あまり音楽を聴かないなあ、なんかぴんとこないんだよねみたいなことを言ったら、少し年下の方が「こんなのどうですか?」と数枚のCDを貸してくれた。
今ならYouTubeで探して聴いてみて!という話なんだけど。
ハイトーンボイスと高速ギターのフレーズ。
そこがツボだったのだろう。
その頃は、うちの車のスピーカーやらなんやらが立派なシステムになっていたから、少し音量を上げて全身で音の波を受け止めながらドライブするのがお気に入りになってしまった。
夫が車の中でクラシックを聴くためにわざわざ純正ではないシステムにしたはずだが、もうまんまと私のメタルシステムとして稼働を続けた。
重低音もきちんと再現されて心地よい。
教会でステンドグラスごしに光が漏れ入ってくるように、きらきらと音が私に降り注いでくる。
当時、子どもたちのPTAや通学班やでごちゃごちゃと揉めることもあったが、メタルを聴けばすっきりさっぱり。
降り注ぐきらきらサウンドが私を清めていくのだ。
北欧のメタルに次々とはまっていった。
言語は英語。
次第に車内で歌いだす私。
わかる部分だけ気持ちいいサビの部分だけを大声で歌う。
高音を出すには、大きな声ではないとならない。
ボーカルと一緒に気持ちよく歌う。
子どもたちをスイミングに送迎したり、夫を職場に送迎したりするときも。
ある日、夫に言われた。
「(歌う)声が外まで聞こえてくるから、やめて」と。
かけている音楽で私の声なんか消えてるでしょ?と聞いたら
「外に聞こえてくるのはキミの声だけだよ」と。
・・・・・・・・・・・。
それでみんな振り返って見ていたのか!
きっちり反省して、今は走行中の車内でだけ歌っている。
信号待ちしていると、対向車の視線が痛い。
でも、負けない。歌う。
夜の田舎道を一人で車に乗っていると、肝試し並みに怖い時もあるから
やっぱり歌うのはやめられない。
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