第105話 初心者バイク乗り

自分のバイクがやってきてから、慣れる為に安全な近場を走っていたわりと最近のお話。


平地であまりカーブがない道路をソロで走って帰ってくるという練習。

自分へのご褒美として、道中でコンビニに寄って、コーヒーなり肉まんなりを買うというスタイル。

夫と食べるおやつを買うということも。


そんな練習を始めてすぐに、20年くらい前の古いスポーツバイクに乗った男性が私のバイクを見つけて、信号ごとに待ち構えてきた。

私としては関わりたくないから、先に行かせてゆっくり走っているのだが、わざと一緒にツーリングしているかのようにあちらが待っている。


ヘルメットから髪が出ているのと、体つきでこちらが女性だとわかっているからかしつこい。


信号待ちでもバイクを横に並べないようにして、先へ先へと行かせているのに、後ろをちらちら見ながら走っていって、次の信号でとまっている。


どんどん自宅に近くなってきて、さすがにこれは怖い状況だぞということで、頭の中で逃げ道を考え出した。

国道から田舎道に入ったところで、なんとか相手を自宅とは逆方向に曲がらせることに成功して、私は無事に帰ってこられた。

田舎の狭い道で急にバイクはUターンできない。

もしそれでもついてこられたら、警察署に走っていこうと決めていた。


同じような車種でこちらは最新のものだから気になったのかもしれないが、こちらは特には珍しいものでもなく、ただ女性ライダーというだけでこんな目に遭ったのだろうと思う。

信号待ちでも話しかけられたりはしなかったし、本当に気味が悪かった。

もう若くないから警戒心ゼロだったのに、こんなこともあってヘルメットから髪が出ないようにバッサリ切ることにした。


峠道などを攻めるタイプの車種だからか、単純に似た車種に追われることも多い。

コンビニの前を通ったら、急いでバイクが出発して追いかけてくるなんてこともあって、こちらは行先を変えたり、途中で停まって先に行かせるとか工夫するようになった。


いいオバサンだけどこんなことも十分怖い。

若い女の子がしつこいオジサンライダーにうんざりしている話も聞くが、こういうことなのだと知った。


田舎の道路はそれほど抜け道がないから、こういう時はどうするのが正解なのかなあと帰ってきてから考えたのだが、やはり警察やガソリンスタンドに駆け込んで助けを求めるのがいいかな。

私の場合は助けを求める前に、ヘルメット脱いで、「オバサンだけど何か用?」と言えばいい気がする。それであっちが逃げたらそれはそれで失礼な話にはなるが。


私が逃げた交差点はやや鋭角なので、それまで一人で走って曲がったことがなく、そっちの意味でも怖かったのだ。不審者バイクから逃げることができても、コケるかもと。


都会でも田舎でも女性ライダーに絡むのはやめてほしい。

ヘルメット脱いでオバサンだと確認してから、「いいバイク日和になりましたね」とか挨拶されるくらいでお願いしたい。


なるべく夫婦でツーリングすることに決めている。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る